※流血表現有
監獄の続きになります





「ねぇ、シズちゃん見なかった?最近足取りが掴めないんだけど」
「さぁ」
「ふーん…ま、飽きたら教えてね」


波江は嘘をついた。
静雄ならつい先日臨也を訪ねてきたばかりだったのに、知らないと答えた。
これはどうか気付いていたとしても見逃して欲しい、あわよくば知らない振りをしてくれると助かる、といった波江からのささやかな要望である。
そして頭のキレる臨也は、僅かな会話と持ち前の情報量からそれを読み取り、暫くは彼女の好きにさせる事にした。
仕事が終わると何時もと変わらず迅速に出ていく波江の後ろ姿を見て、臨也は薄く目を細めた。


臨也の部屋からやや離れた金属質な個室。
所々赤く錆びた様なシミは血液が金属に付着して腐蝕したものだろうか。
部屋の角に置かれた棚以外は何もない閑散とした部屋で、静雄の意識は漸く浮上した。
両腕は太く頑丈そうな鎖に拘束され、頭上に固定してある。
身に纏うバーテン服もあちこちが引き裂け、衣服とは呼べない状態だった。

傷等は既に治っていたが、記憶に無い暴行の痕跡は静雄を混乱させた。
それ故、一人だった筈の静かな部屋に人影が増えている事に気付くのが遅れる。

「目は覚めたかしら」
「っ!?」

少しずつ散り散りになった記憶が浮上し出す。
臨也を訪ねて新宿までやってきた事。
意識を失う前、コーヒーを飲んだ事。
目の前に佇む女が、矢霧波江と名乗った事。
弟の写真を慈しむような眼差しで見ていて、何処と無く共感を覚えた記憶も静雄にはあった。
そのせいか殺伐としたこの空間に波江の姿は酷くミスマッチな物に思える。

「ここ、どこだよ…臨也に命令されてこんな事したのか?」
「いいえ、彼奴には言って無いけれど。そうね、この場所を分かりやすく言い表すなら…監獄、」

そう呟いた波江の手には、女性が持ち歩くには余りにも猟奇的な鋸が握られており、静雄の精神を揺さぶるには充分すぎる程の衝撃を与えた。

「傷は治っているのね、あれだけ切り付けたのに」
「な…」
「貴方みたいな化物が誠二に触れただなんて、本当に許せない」

誠二って誰だ、心当たりがない。
そう伝えようと思ったが、鋸の刃越しに見た波江の目が静雄を黙らせた。
キレている訳でも我を失っている訳でも無いが、明らかに正常から駆け離れた視線に、恐怖すら感じる。

「貴方の体は硬くて傷付け辛いから柔らかそうな眼球でも抉りとってやろうかと思ったんだけど、視覚からの拷問も大切よね…鈍い痛覚を刺激しても仕方ないのかしら」

最早独り言に近い呟きを漏らしながら棚を漁る波江の行動一つ一つが恐ろしい。ガチャガチャと物同士がぶつかり合う音が静雄の鼓膜を震わせた。
やがて振り向いた波江の手には鋸の他に、様々な物が握られていた。
静雄にとっては用途不明のガラクタでしかない筈だったが、波江が手にしているだけで底無しの恐怖と成り代わる。
切り裂かれて衣服としての役割を失った布が素早い手付きで取り払われて行く。薬が抜けきっていない体では抵抗も儘ならない。

何も纏っていない下半身は大きく開かれ、棚から持ち出した太いバイブを宛がわれる。

「っひ、ゃ…!」
「やっぱり、精神的に壊してやるのが一番かしら」
「や、やめ…ろっ」


波江は前触れも無くそのバイブを押し進め、慣らされていない穴は拒絶するように強い摩擦でもってそれを阻もうとした。
それでも出来るだけ奥へ奥へと捩じ込まれ、挿入部からは痛々しく血が伝う。
血で濡れて若干滑らかになった事により、更に押し込まれる。

「痛い?」
「ぐっ、う、ぁ…っは」
「辛そうではあるからまぁいいかしらね」

静雄にしてみれば体験した事のない痛みであった。
痛いと悲鳴をあげたり助けを乞う術すらその痛みに奪われているというのが現状であったが、まともに声も出せない状態の静雄を見た波江は、ただ息苦しいだけであると判断した。

「ぁ、っうぅ、ひ…!」
「…あら、段々勃ってきてるわよ」
「な…、ち、ちがぁっ」


波江の言う通り、静雄の性器は勃ちかけていた。
生き物は重度の身の危険に直面した時、子孫を残そうとする本能が働くため発情しやすくなるという事を波江は知っていたが、そんな雑学など知る機会も無かった静雄にとってはこの上無い恥辱だった。

「もしかして痛いのが好きなのかしら、そうだとしたら意味が無いわね」

表情一つ崩さずにリモコンを静雄の前に持ち出す。
下に下がりきった小さなレバーが少しだけ上にずらされる。すると中のバイブが緩やかに震え出した。

「…っや、めっ、あ」
「やめて欲しい?」

レバーを摘まんだまま問い掛けられ、波江の目的など完全に頭から消え去っていた静雄は懸命に頷いた。
静雄を苦しめるのが波江の目的である、という事を。
結果、静雄の望む展開とは裏腹にバイブの振動は一層増して静雄の内部を刺激する。


「っひぅ!うぁあっ、ん」
「イかせないわよ」
「ぁ…ふぁっ!?」

膨張した自身にリングを嵌められ、根元をきつく絞められる。
バイブは刺激を与え続けるが、解放する事が出来なくなり追い詰められていく。

「ひ、うぅっ、ふゃ、っ」
「まだ足りないわよね」
「や、あ、っあぁ!」

更に振動を強くされ、あまりの強さに首を振って紛らそうとするが自身は痛い程に張り詰めていく。
快楽に溺れ始める静雄を見た波江は、傍らに置いておいた鋸を再度持ち上げる。
そして反り返った自身に刃先を近付けた。
当然静雄は性器を傷付けられる恐怖に体を強張らせるが、中で暴れるバイブが硬直を許さない。
やがて波江は鋸を垂直から平行に持ち直し亀頭を面で擦り出した。基本的にはさらりとした金属面だが、所々削れてざらついた箇所が先端に触れる。

「ゃ、っひぃ、ふぁ」
「泣く事無いじゃない、貴方が誠二にした暴力に比べたら可愛い物だわ」
「ぁ…っう、んぁあ!」
「辛そうだけど、もっと必要よね」

鋸の面を置かれたままバイブの振動が最大まで上げられ、すぐ側に刃物があるにも関わらず腰が跳ね上がってしまう。
膨大な恐怖と快楽に板挟みにされて体を震わせても気休めにすらならなかった。

「あ、ぁあっ!も…ひぁ、っい、きたっ」
「何か言う事があるんじゃないかしら」
「ひ、ぁっ、な…に」
「貴方は私の大事な大事な誠二に暴力を奮ったのよ」
「ん、ぁっ…ご、…な、さっ、あ、ひぅ!」

実際には静雄が謝る理由としては些か理不尽な物であったが、静雄はすがるように口を動かした。
謝罪の句を告ごうとしても、切れ切れの文字では波江に届かず意味がない。
尚もバイブは奥で暴れ回り静雄に言葉を告がせようとしない。
まともな謝罪が無い事に苛立ちを感じた波江は先走りの溢れる尿道口に刃を乗せた。快感から腰を揺らす度に刃先が軽く食い込み透明の液に血が薄く滲む。

「はぁっ、やぅ、ひ!」
「謝る気が無いのかしら」
「っは、…め、なさっ!ごめ、ぁあっ」
「簡単でしょう?ごめんなさい、すみませんでした、許して下さい、二度としませんって言うだけよ」
「ん、ゆ…してぇ、くだ、ぁ、あっ!あぁああっ!」

先走りで切れ味の鈍った細かい刃先に先端を擦られ、静雄は根元を締め付けられたまま空イきをした。
精神が振り切れる程のあらゆる刺激に耐えきれずそのまま気絶してしまった静雄を見て、波江は濡れた鋸を置く。
バイブの電源は切るが抜くことはせず、リングも嵌めたまま静雄を放置して波江は立ち上がった。

「…薬でも飲ませて素直になれば誠意を持って謝る様になるかしら」

それとももっと強い脅迫が必要かしら、若しくは快楽、羞恥か、
聞いた者が身震いするような例をすらすらと挙げながら波江は外へと姿を消していく。
床を叩く規則的なヒールの音だけが監獄に響いた。








監獄の続き、という事でこんな感じになりましたが鋸プレイだったり流血したりと好き勝手やってしまいましたが大丈夫でしょうか…
血は駄目なんだよばかぁ!という事でしたら修正して上げ直しでもなんでもしますんで何なりと仰って下さい


この度は一万打リクエストにご参加して頂き誠にありがとうございました!


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