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8-3


「まだまだ!装備魔法「宝玉の解放」を『サファイア・ペガサス』に装備させる!この効果により、『サファイア・ペガサス』の攻撃力は800Pアップ!
バトルだ!今度こそ行くぜ、『トパーズ・タイガー』で『魔導戦士 ブレイカー』を攻撃!トパーズ・バイト!」


宝玉獣 サファイア・ペガサス ATK 1800→2600/DEF 1200
氷那―LP:3100


「くっ…」

「『サファイア・ペガサス』で氷那にダイレクトアタックだ!」



先程のターンでの「団結の力」による攻撃力の底上げよりもマシだと思われるものの、サファイア・ペガサスの後にはまだ宝玉獣達が控えている
その切り込みからの連続攻撃にはこのLPでは太刀打ち出来ない、向かって来るサファイア・ペガサスを妨害する為にも声を張り上げた


「…伏せカード、オープン!罠発動「強制脱出装置」、この効果で『サファイア・ペガサス』を手札に戻させてもらうわ」

「あっちゃー…だけどバトルフェイズは続行するぜ!『アメジスト・キャット』と『コバルト・イーグル』でダイレクトアタック!」

「あぁっ…!」


氷那―LP:500


「カードを1枚伏せてターンエンドだ」

「…私のターンね、ドロー」


次の彼のターン、このままなら自分は宝玉獣達の一斉攻撃に耐えられない、このターンが自分の命運を分ける
小さく深呼吸を置き、氷那は命運を自分のデッキに託し一気にカードを引き抜き、笑みを浮かべた



(ありがとう、私のデッキ)


「手札から魔法カード「貪欲な壷」を発動、自分の墓地のモンスター5体を選択してデッキに加えてシャッフル。その後、デッキからカードを2枚ドローする
…私は『マンジュ・ゴッド』を召喚し、モンスター効果を発動する。このカードが召喚・反転召喚に成功した時、自分のデッキから儀式モンスターまたは儀式魔法カード1枚を手札に加える事が出来る」



氷那はディスクからデッキを外し、その中に組み込まれていた目的のカードを手札に加えると彼女の逆転劇は開幕する



「行くわ、手札から儀式魔法「救世の儀式」を発動。場の『マンジュ・ゴッド』と手札の『マジカル・コンダクター』を墓地へと送り、その効果を発動する
…祈りの権化よ、混沌に覆われし世に救いを説く為に今こそ姿を現せ…降臨せよ『救世の美神 ノースウェムコ』!」


救世の美神ノースウェムコ ATK 2700/DEF 1200



氷那の場に絢爛豪華な装飾を纏い、それらとは裏腹に落ち着き払った雰囲気を放つ…その存在に与えられた名に相応しい女性が長い髪とヴェールを靡かせ降臨する



《マスターの危機に召喚して頂き、光栄です》

「凄ぇ…彼女が氷那の切り札なんだな」

「ええ、ヴァルキリアの次に信頼してる私の…友達、『救世の美神 ノースウェムコ』のモンスター効果を発動するわ
このカードが儀式召喚に成功した時、このカードの儀式召喚に使用したモンスターの数までこのカード以外の場上に表側表示で存在するカードを選択して発動する
選択したカードが場上に表側表示で存在する限り、このカードはカードの効果では破壊されない。私は貴方の場の『宝玉獣アメジスト・キャット』と『宝玉獣 コバルト・イーグル』を選択」



カードによる効果破壊の対策として、ノースウェムコの退出という最悪の事態を防ぐ事を成功させた氷那は更に、と言葉を続ける



「魔法カード「ダブルアタック」発動、自分の手札からモンスターカード1枚を墓地に捨てる
その後、捨てたモンスターよりもレベルが低いモンスター1体を自分場上から選択する、私は手札から『氷の女王』を捨てるわ
『氷の女王』のレベルは8、『救世の美神ノースウェムコ』のレベルは7…よってこのターン、『救世の美神ノースウェムコ』は2回攻撃をする事が出来る」



主人の意図を理解したノースウェムコは静かにその手に持っていた杖を胸の辺りにまで持ち上げ、主人の言葉を待つ
ノースウェムコのその様子に先程までの動揺は消え去り、もはや氷那に迷いはない



「バトルよ、『救世の美神ノースウェムコ』で『宝玉獣 アメジスト・キャット』を攻撃するわ」

「っ…!この瞬間、伏せカード、オープン!罠発動!「宝玉の双璧」!
デッキから「宝玉獣」と名のついたモンスター1体を永続魔法カード扱いとして自分の魔法&罠カードゾーンに表側表示で置くことでこのターン、自分が受ける戦闘ダメージは0になる!」

「あら、そんな事を私が許すとでも?伏せカード、オープン。カウンター罠「魔宮の賄賂」を発動
これにより「宝玉の双璧」の効果を無効化して破壊するわ、その代わりに貴方はデッキからカードを1枚ドローする事が出来る」

「あっちゃー…読まれてたか…!」


氷那が控えていた「魔宮の賄賂」の効果に従い、ヨハンは自分のデッキから1枚カードを引く
これで本当に彼と彼を守る宝玉獣は身一つ、魔法&罠カードゾーンには宝玉だけが輝くのみ


ヨハン―LP:1100


「これで終わらせてもらうわ、『救世の美神ノースウェムコ』で続けて『宝玉獣 コバルト・イーグル』を攻撃」

「っ…うわぁぁぁぁ!!!」


氷那―LP:500
ヨハン―LP:0



目の前の彼のライフが尽きた事により、目の前のモンスター達のソリッドビジョンは役目を果たし、虚空へと消え去った
ディスクを直し氷那はヨハンへと歩み寄る、その姿を確認すると彼は苦笑を見せる


「途中まではいける!って思ってたんだけどなー…」

「デュエルは最後まで何が起こるか分からないものよ、慢心は行けないわ」

「ホントにな、いやーでも氷那、思ってた通りに強かった!最初は切羽詰まったけど、すっげぇ楽しかったぜ」

「…私もよ。アンデルセンくんと宝玉獣達の絆の強さを見せつけられたわ
今日は付き合ってくれてありがとう、アンデルセンくん」

「へへっ俺の方こそ!色々氷那を追い詰めて、酷い事したのに誘ってくれてありがとな」



極自然にデュエル後のお互いをリスペクトする為に伸ばされた手に氷那は振り払わずに受け入れ、堅く手と手を結ぶ
やっと謝罪の言葉を口に出来たのも含め、二重の喜びをその笑顔で現すヨハンを見つめると何かを決意したかの様に氷那は一拍置き、口を開いた



「…ねえアンデルセンくん」

「んぁ?」

「ここまで付き合ってくれたんだもの、迷惑じゃなかったら…昔話に付き合ってくれない?」



何処となく緊張した面持ちで微かに震える声で訪ねられ、ヨハンはそれに付き合わない、という選択肢はなかった



今度こそきみしんじられる






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