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main >> chapter >>01


  

耳障りな音が響く。

俺達は今、勝ち目の見えない戦いに挑んでる
馬鹿馬鹿しい。
勝てもしない戦場に行ってなんになるってんだ?
どうにもならないだろ。
そうやって訳も分からないまま死んでくのか、俺は。

こんな馬鹿な事をしてるんなら、あいつに会いたい



「何してんだよエスカバ」


銃を構えながら、ミストレが話し掛けてきた


「別に・・・」


辺りを警戒しながら、話をする
ため息をついてミストレは呆れた様に


「彼女、泣いてたよ。」


君が部屋から出た瞬間、泣き崩れてた、と。
どこか遠くを見ながら言った



「そうか」

「帰ったら謝ってやれよ、鈍感。」


ミストレは持ち場に戻り、俺は変わらずその場にいた





あいつ、泣いてたのか。
多分謝っても許してくれないだろうな
今更謝ったって無駄だと思う

『ごめんな。』なんて、もう手遅れだろ


そんな言葉が脳内で蠢いていた

次の瞬間、胸の辺りに激痛が走った。


「っ・・・!?」


どうやら撃たれたらしい。
その場に膝をついた
生暖かい血液が、手を、衣類を染める。



薄れて行く意識
頭の中で考えていた








俺はこんなに弱かったっけ?
弱くなる様なことなんて、してない筈・・・





あぁ、そうか


あいつの言葉が俺を甘くさせたんだ。

あいつの『大好き』が、『愛してる』が、俺を汚していったんだ。





愛の言葉で汚れてしまった

俺の強さも、全部。











羊水様に提出致します。