限界 | ナノ


 臨也くんはいつだって臨也くんで、何考えてるのかわかんなくて意味不明で人間が好きだとか言ってる変態で、自信家で、優しい顔して裏でいろいろやらかしてて、一生平和島くんに危害加えるようなひと、なのに、


「っんむ、‥‥は」

「舌、だして」

「いざ、や、くん」


 臨也くんに奪われて足りない酸素の供給に頭が機能しない。からだを這う手は相変わらず白くて細くて、でも骨ばったこの手にどれだけ翻弄されただろう。高校を卒業してからも臨也くんに対してはプライバシーなど意味を為さず、平和島くんに限っては四六時中チンピラ風情を仕向けられて。いままで生きてきた中でこんなにもひねくれたひとを、わたしはしらない。ひとを寄せ付けないくせに人一倍寂しがりやで愛に飢えている、こんなひとを。









「臨也くん」


 いつのまにか着替えを済ませている彼に視線を寄越す。情事後はいつもこうだ、さっきまでの熱の隠った目はどこへやら、非道く冷たい双眸で見下ろされる。それが嫌で最近はずっと避けていたというのに。‥ちがう、いつだって臨也くんはこんな瞳だった、駒の女の子たちに向ける無機質な、こんな瞳にわたしをうつした。


「もう、やめよ」


 ああ、吐き気がする。



限界



 こんなに空しくさせられるくらいならいっそもう、



×