「本当だってば!本当に部屋に横綱が来て鉄砲で壁に穴開けたの!」 昨日どうやって家に帰ったのか全く覚えていない。あのまま織姫の部屋に帰るのが怖くて逃げたのだけしか分からない。たつきと織姫は真剣な顔で横綱がどうたらこうたら言っているけれどわたしは力士どころか子供ひとりさえ「来てない」と断言できる。何故なら二階にある織姫のアパートの部屋に行くための唯一の階段の前にいたのはこのわたしだったのだから。電柱を登って行くにしても鉄砲を抱えながら巨体で上がれると思う? 「ね!名前ちゃん!」 「‥え、」 「名前ちゃんも見たよね?」 「あー、ごめん昨日記憶が曖昧なんだよね、途中から」 そこで目を見開いたのは一護とルキアだった。ああ見えなければ良かった。そんな反応、隠しごとがあるって言ってるようなものじゃないか。どうして、どうして何も話してくれないの、ねえ 「名前?」 「!」 「どした?‥まままさかあんたまで頭おかしくなっちゃったの!?」 「ごめん千鶴、考えごとしてた」 時計の秒針がうるさい。あれ、こんなにうるさいものだったっけ。無駄に心臓がはねる。だるい。苦しい 目が眩 む、 「昨日苗字もいたのか!?」 「しらねーよ!じゃああいつ昨日の記憶、」 「ああ。‥そのままだ」 僕らはまだ足を踏み入れたばかり。 |