初めて逢ったはずの男子と視線が交わっただけでこれでもかというほど目を見開かれる体験をする機会なんて早々ないと思う。 「あの」 何かついてます?と言い終わる前に彼は言葉通り消えた。…消えた?え、は?人間が一瞬にして消えた?いやいやいやありえないありえないわたしの頭大丈夫か、だ 大丈夫だよね!(自分で言ってむなしくなった)きっとあれだよ一回の瞬きの瞬間隣の路地へ入り込んだんだ。きっとそうだ。そうに違いない。だって人間は瞬間移動なんて出来ないしからだを透明にすることだって現代の技術じゃ不可能(のはず)なのだから。 自己完結をして止めた足を再び進める。数分もすれば先程の出来事なんてもう脳の片隅に追いやられ、そんな頭の中は今日の夕食が大半を占めていた。 「おっはよう一護!」 次の日。家の前で突っ立っていた幼なじみ黒崎一護の背中にタックルもとい背中への体当たりをかます。案の定奇声を発した彼に満足げな笑みをプレゼントした。 「てめ‥」 「なにこれ?一護の頭突きで破壊したの?お父さんとの喧嘩も大概にしなよね」 「ちげえ!つうか何で頭突き限定!?」 「トラック事故?」 流れで家の修理を手伝うことになり木材を抱える一護の方へ振り向く。相も変わらずこの家はついていないらしい。遊子ちゃんが小物を運びながら笑顔で頷いた。何故笑顔なのかは分からない。 「ふうん」 ねえ 一護 どうしてトラックのフロントガラスの欠片もミラーもブレーキ痕も無いのを不思議に思わないの? 「無事で良かった」 「お、おう」 「夏梨と遊子ちゃんと一心さんが」 「‥‥」 誰のことを考えてるの? |