たとえば今ここでわたしがあなたのためと豪語し心臓を止めたとして、果たしてそれであなたがわたしを見てくれるなんてことは有り得るのだろうか。 「残念ながらそれはないよ」 自身の首に手を掛けるわたしを一瞥してさも興味が無いと言うようにキーボードに指を這わせる彼を見つめる。ああなんて美しいひと!さらりとした黒髪もなめらかな膚もきれいな指先も整った顔立ちも生まれ持った透きとおるようなその緋い双眸も全部全部ぜんぶ!美しいという言葉がまるで彼のためだけにあるみたいに! 「あなたが死ねと仰有るなら今すぐそうしますのに」 これは依存。異常という言葉だけでは到底足りぬ、常識を超えた依存。もう彼なしでは自我を保てないほどの、依存。以前誰かに話したときは大袈裟だと笑われたけれど、一般人の理解出来る範疇を超えた度合いで、確かにわたしは依存している。 「きみは何か勘違いしている、俺はきみを駒だとしか認識していないしきみ1人消えたところで他にも代わりはいるんだよ」 「いいのです、あなたの傍に在れるだけでわたしは幸せなのですから‥‥いえ、間違えました。あなたがわたしの幸せなのです」 たとえば今ここでわたしがあなたのためと豪語し心臓を止めたとして、もしそれであなたがわたしを見てくれたとしても。わたしのあなたに対する感情はもう限界を超えていて何も変わることはないのです。 |