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 やばい、やばい、やばいやばいやばいやばいやばいやばいやばい


「ごほっ、っは、う」


 痛い痛い痛い心臓が痛い。なんて悪いタイミング。もうすぐ病院に着くっていうのに、‥こんな道端で倒れてられない、ああもうタクシーか何か使えば良かった!

 平日の午前。学生は学校に社会人は仕事に行ってるこの時間帯、もちろん通りに人影はない。散歩しているおじいちゃんおばあちゃんや車をたまに見る程度。文明の利器携帯も家に忘れてきた。イコール、助けはのぞめない。

 あまりの心臓の痛さにうずくまる。このまま何事も無く痛みがおさまってくれないだろうか、今までの経験からしてそれはないのだが。ああほら目が霞む。


 あーあ、わたし、2か月経つ前に今日ここで死んじゃうのかなあ。











「‥死んでない」

 目が覚めたら見慣れた天井、嗅ぎ慣れたにおい、聞き慣れた電子音。来るはずだった病院。

「こんにちは名前ちゃん、今日は診察だけだったはずなのにね」

「‥せんせい」

「ただでさえ平日で人通りの少ない道なんだから、歩道の端で心不全なんて勘弁してね」

「がんに言ってください、がんに‥あの、わたし何でここに」

「あら、自分で救急車呼んだんじゃないの?」


 そんなはずない、携帯持ってなかったし公衆電話だって無かった。あそこにいたおじいちゃんおばあちゃんの誰かが電話してくれたのかなあ。


「そういえばさっきまで男の子いたわよ」

「男の子?」

「黒髪だったわね、イケメンの」


 ‥なに、黒髪のイケメンが?いた?ここに?さっきまで?黒髪のイケメンなんて、わたしはひとりしか知らない。うそ、なんで?なんで彼がここに?いやいや、‥学校は?


「まだその辺にいるんじゃないかしら」


 走る。走る。

 理由は特になかった。もし理由があったとすれば、わたしの頭が正しく機能しているのなら今日来ていたらしい男の子は彼だと確信したからだ。会いたかった。問いたかった。聞きたかった。彼に、理由を、彼の声を。



 結局、わたしは彼を見つけることが出来なかった。


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