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 ちゃんと生きてきたつもりだった。


「もって2か月。‥ですか」


 どう反応したら良いかわからず深刻な顔をする医者に笑顔を向けた。何の話かと言えばもちろん病気の話で、わたしは永く生きれてせいぜい2か月、らしい。宣告された余命はたったの2か月。たったの60日。

 原発性の心臓悪性腫瘍、いわゆる心臓がんというもの。診断された当時は心臓にがんなんて出来るんだーなんて呑気に考えていたけれど事態は極めて深刻だった。あは、わたしまだ若いのに。




「苗字さん、おはよう」

「あ、岸谷くん‥平和島くんも。おはよう」

「‥おう」


 体調が悪く休んでいたり入院していたりで学校に来る機会が少なく、ただでさえ積極的ではないわたしと唯一仲良くしてくれたのがこの2人である。この2人には良くない噂がまとわりついているらしいけれど詳しくは知らない。実際わたしには優しくしてくれるし噂なんてあてにならないものだ。




 高校2年12月。わたしの人生はあと2か月で幕を閉じる。


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