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 1週間。1週間のあいだ、彼女は延べ5回、不整脈および心停止を起こした。それはほんとうに苦しいらしく、俺が病室にいないときにもう嫌だと泣いている。


「死後の世界はあると思う?」


 問うたあと、彼女は目を丸くして静止した。枕元におかれたアナログ時計の秒針だけが脳に響く。きっと今の俺は、これでもかというくらい笑顔なのだろう。返答が待ち切れなくてうずうずしている、まるで子供のよう。


「あってもなくても、‥わたしが生きたこの世界から消えることがもう地獄だから」

「なら何故自ら命を棄てるようなことをするのかなあ」

「?‥‥、ああ、聞いたんですか」


 くす、と自嘲めいた笑みをこぼし俯く彼女。


「折原くん。わたしね、やり残したことぜんぶやろうと思ったんです。普通の女子高生みたいにすきなひとと遊んで、笑って、授業抜け出して屋上でさぼったりして、あと、」

「そんなことはどうでもいい。はっきりしなよ、きみは死にたいの?生きたいの?どっちなんだよ」

「‥い、きたい。‥‥‥生きたい、死にたくないよ‥‥!」



「生に縋る姿は人間らしくて嫌いじゃない」



 俺がきみを扶けてあげる。



 その男のまるで神のような科白に、女は涕を止めることが出来ないのだ。


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