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 それは本当に突然の。


「やあ、遅かったじゃないか」


 例のことがあってから、わたしは平和島くんと岸谷くんと一緒に毎日ご飯を食べるようになっていた。その日も例外じゃなく、いつもどおり平和島くんの付き添いで購買に寄って、いつもどおり岸谷くんと合流して、いつもどおり屋上でお昼、のはず、だった。


「来るなら来るって連絡してよ!あああもう、なんで君はいつも突然‥‥!」


 初めてみた、何があってもいつだって冷静沈着な岸谷くんが狼狽する姿も、額に青筋を浮かべる平和島くんも。2人をこうしてる原因であろう黒髪のひとに無意識に視線を投げる。弱いわたしの頭でも分かる、ああきっと彼があの有名な、


「折原臨也、さん」

「こんにちは、苗字名前さん」

「え、」


 わたしのこと知ってるんですか。そう言おうとして、それは声になることはなかった。
 わたしのとなりにいたはずのそのひとはまるで牙を剥いたように豹変し、きちんと事故防止としてそこに設置されていたフェンスを文字通り引きはがして、軽々と、


「いざやああ!」


 投げた。


「やめてくれないかなあ、今お話し中なんだからさ」

「うるせえ知るか、さっさと死ね!」


 わたしを2人から護るように背に隠してくれた岸谷くんにも気付かずに状況を把握しようとひたすら弱い脳を回転させた。いや状況は理解していた。ただ、分かりきっていたはずなのにいつもの優しい平和島くんにこんなにも恐怖を感じてしまった自分を、どうしても受け入れたくなかったのだ。



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