6 「志乃さんは焼きそば好きなんですか?」 二人で黙々と食べるのもなんだか、と思って口を開いてみる。 唐揚げより焼きそばが好きだから、焼きそば選んだのかなーとか思ったりして。 「ん?いや、唐揚げより美味しそうに見えたから選んだだけ」 「えっ」 「食べにくそうじゃんそれ」 「そんなことはないですけど」 「まー……唐揚げよりも焼きそばの方が好き……かな」 「へぇ……。」 やっぱりお腹はあまり空いてなかったのだろうか、ちびちびと食べすすめる姿に少しだけ申し訳なくなる。 志乃さんはもっと豪快にがばっがばっと食べ進めるイメージだった。 まぁ、イメージだけど。 男らしい人だし。 またそのイメージが覆されて、俺はその姿をじーっと見ていた。 「好きなものとかは?」 「食べもん?」 「そうです。」 「んー、俺しょっぱいもんより甘いもんのが好き。」 「へ、へぇ!!」 「何だその意外って顔」 甘いものが好きなのか。 意外すぎる。 志乃さんはブラックコーヒー飲みながら、煙草吸ってる感じのイメージだったし。 偏見だけどスルメとか好きそうだと思った。 へぇ、へえ!! 頭の中で何度もへー!っと思いながら頷く。 今度は甘いものでも持ってこよう。 |