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「志乃さんは焼きそば好きなんですか?」


二人で黙々と食べるのもなんだか、と思って口を開いてみる。
唐揚げより焼きそばが好きだから、焼きそば選んだのかなーとか思ったりして。


「ん?いや、唐揚げより美味しそうに見えたから選んだだけ」

「えっ」

「食べにくそうじゃんそれ」

「そんなことはないですけど」

「まー……唐揚げよりも焼きそばの方が好き……かな」

「へぇ……。」



やっぱりお腹はあまり空いてなかったのだろうか、ちびちびと食べすすめる姿に少しだけ申し訳なくなる。
志乃さんはもっと豪快にがばっがばっと食べ進めるイメージだった。
まぁ、イメージだけど。
男らしい人だし。

またそのイメージが覆されて、俺はその姿をじーっと見ていた。


「好きなものとかは?」

「食べもん?」

「そうです。」

「んー、俺しょっぱいもんより甘いもんのが好き。」

「へ、へぇ!!」

「何だその意外って顔」


甘いものが好きなのか。
意外すぎる。

志乃さんはブラックコーヒー飲みながら、煙草吸ってる感じのイメージだったし。
偏見だけどスルメとか好きそうだと思った。

へぇ、へえ!!

頭の中で何度もへー!っと思いながら頷く。

今度は甘いものでも持ってこよう。