1 結局隼也に弱みを握られた。 ……まぁ、今更なんだけど。 あいつは何個も俺の弱みをしってる。 でもあいつもそれをネタに揺すってくることはない。 金持ちだから、そのへんそんなことしなくてもいいんだろうなぁ……とか思う。 普通なら、仕事やりたくないからあのネタで揺すって「やっといてくださいよ。」ぐらいのこと言いそうだが、あいつはそんなことはしなかった。 仕事に対しては真面目だし、嫌だのめんどくさいだのいうくせに、きっちりと真面目にこなす。 育ちがいいんだろうなぁ。 志乃さんと会って1週間。 そろそろ傷は全部治っただろうか、なんて思いながら、俺はコンビニにいた。 今日は隼也がいなかったおかけで残業をせずに済んだから、割と早く仕事を上がれた。 だから、志乃さんに会いに行こうかと思ったのだ。 何食べるだろう。 きっとお腹すいてるんだろうな。 俺だって空いてるし。 簡単に食べられるものがいいかもしれない。 じゃあ、ポテトとか唐揚げとか? でも、冷めたら美味しくないものはやめたいなぁ。 俺はレジの隣の揚げ物コーナーの前でじっと、ケースを眺めていた。 いっそのこと、中華まんなんてどう? 急いで行って、ホイと渡せば。 あーー、でも空いてるとは限らないしなぁ。 えーと今日は、火曜日だっけ。 火曜日……かぁ……。 結局俺は、惣菜パンという超無難なものを手に取って、レジを通った。 コンビニの袋を引き下げ、夜のネオンの中に混じり込む。 流石に火曜日だからか、徘徊しているサラリーマンは少なかった。 |