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特に理由はないよと言ってみても、信用されないのは俺が一番わかる。
いや、おかしいだろ絶対なんかあっただろ。
そう思うと思う。

ここは居ない彼女にでも登場してもらうか……。


「彼女と」

「彼女?会ったんすか?」

「そうそう。昨日ね」

「早川さんそんなに彼女に入れ込む質でしたっけ?」

「え?!」


なんでそんなこというの?って感じで俺が思わず目をパチクリさせたら、隼也は俺の顔を見て目を細めた。


「てゆーか早川さん彼女いないくせに何言ってんの」

「できたんだよ!」

「ふーーーん?できて1日2日の彼女に癒されるんすか?ぜーーーったい違うなぁ」

「決めつけないでくれないかなぁ?!」

「決めつけてないっすよ。早川さんそんな人じゃないっすもん。てか、彼女居ないのリサーチ済みっすから。虚しいこと言わない方がいいっすよ」

「?!うっ、うるさいな?!なに!リサーチって?!」

「俺、早川さんのことで知らないことなんてないっすもん」

「やめてよ気持ち悪い冗談に聞こえない」


どうやら失敗に終わったらしい。
俺こいつに彼女居ないとか言ったかなぁ。
言ったことない気がするんだけど……。


「じゃあ……アレっすか?」

「え?」

「先週行った風俗?」

「……違う」

「お!ビンゴ!!」

「違うっていってるだろ!!」

「なんなんすかー!そんなに入れこんじゃって!!そんなに良かったんすかー?!」

「声がでかいうるさいよ!!」


お茶を持ってきてくれた女の子が、俺の声にびっくりして肩を震わせる。
その女の子に「ごめんね、なんでもないから。こいつが勝手に言ってるだけで」と否定してしまう。
こんなふうに否定をしたら、肯定しているようなもんなのに、動揺している俺はそれに気づけない。