3 特に理由はないよと言ってみても、信用されないのは俺が一番わかる。 いや、おかしいだろ絶対なんかあっただろ。 そう思うと思う。 ここは居ない彼女にでも登場してもらうか……。 「彼女と」 「彼女?会ったんすか?」 「そうそう。昨日ね」 「早川さんそんなに彼女に入れ込む質でしたっけ?」 「え?!」 なんでそんなこというの?って感じで俺が思わず目をパチクリさせたら、隼也は俺の顔を見て目を細めた。 「てゆーか早川さん彼女いないくせに何言ってんの」 「できたんだよ!」 「ふーーーん?できて1日2日の彼女に癒されるんすか?ぜーーーったい違うなぁ」 「決めつけないでくれないかなぁ?!」 「決めつけてないっすよ。早川さんそんな人じゃないっすもん。てか、彼女居ないのリサーチ済みっすから。虚しいこと言わない方がいいっすよ」 「?!うっ、うるさいな?!なに!リサーチって?!」 「俺、早川さんのことで知らないことなんてないっすもん」 「やめてよ気持ち悪い冗談に聞こえない」 どうやら失敗に終わったらしい。 俺こいつに彼女居ないとか言ったかなぁ。 言ったことない気がするんだけど……。 「じゃあ……アレっすか?」 「え?」 「先週行った風俗?」 「……違う」 「お!ビンゴ!!」 「違うっていってるだろ!!」 「なんなんすかー!そんなに入れこんじゃって!!そんなに良かったんすかー?!」 「声がでかいうるさいよ!!」 お茶を持ってきてくれた女の子が、俺の声にびっくりして肩を震わせる。 その女の子に「ごめんね、なんでもないから。こいつが勝手に言ってるだけで」と否定してしまう。 こんなふうに否定をしたら、肯定しているようなもんなのに、動揺している俺はそれに気づけない。 |