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「あれ?早川さん?」


きょとん、としている隼也を見て俺は「おはよう」と言った。
今日は「おはよう」隼也相手になんていう余裕があるんだから、かなり調子がいい。


「あと俺の名前小早川」

「え?!え?!なんでいるの??」


いつも通りとなりのデスクの椅子を引っ張ってきて、それに跨ると俺の顔をのぞきこむ隼也。


「休む必要もないかと思ってね」

「え?!早川さんなんかすごい元気っすね??隈すごいけど」

「早く仕事片して帰るよ」

「えーーー!なんだー!早川さん居るなら俺もっとゆっくり来てもよかったじゃーーん!てか早川さんの穴埋めが俺にできるわけもないけどね」


仕事がかなり溜まっている。
ちゃんとやっていたつもりだったけど、なかなかペースが遅かったらしい。
俺はその遅れ多分を取り返すために、早速パソコンを覗き込んでいた。

隼也はその隣で俺のパソコンを覗き込む。
どうやら、隼也でもできそうな俺の仕事をさせるつもりだったらしい。
よかった、休みもらってたら隼也に弱みを握られるとこだった……。


「俺だったら絶対休むけどなー!有給休暇!ほしー!!」

「バイトはないんだっけ」

「無いっすよ!!早川さん真面目!よっ!社畜の鏡!!」

「……うるさいよ……」


社畜の鏡なんて言われても嬉しくないし……。
でも有休はもっと大事な時に取っておきたいから……。
だんだんとうるさく感じ始めた隼也に、まぁまだいいか……なんて思って仕事をすすめる。
相変わらず女みたいに話が長い気がする。


「にしても、早川さん」

「小早川」

「小なんてあってもなくても変わんないっすよ。」

「出席番号かなり変わるからね?」

「……ねぇ、早川さん。何かあったんすか?なんで急に元気になったんすか?」


ギクッ
隼也の言葉を聞いてタイプする指が止まる。
そんなに変わった?
なんて思うけど確かにうん、そうかもしれない。だって自分でも今日は気分がいいって思うし。

でもその理由が風俗に行ったからなんてことは言えない……。
それこそ隼也にからかわれるネタだ……。