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『俺、ほかのどんな客よりもお前が一番好きだ。』


ベッドの上で思わず顔が緩む。


「ふふ、ふふふ。」


そっか、そっか。
ほかのどんな客よりも、俺が一番。
そっかぁ。

こんなことで嬉しいのはいつぶりだろう。
いや、なんでも一番は嬉しいものか。

とろんとした顔、甘い口ぶりを思い出して俺はうっとりと余韻に浸る。

時刻は午前四時。
もうすぐ出勤の時間だ。

一応有給休暇はもらったけど、行っても問題ないだろう。
そんな気がする。

とりあえず俺はなんだか幸せな気持ちでいっぱいだった。

今から寝たらきっと起きれないだろう。
俺はそのまま起きるとシャワーを浴びることにした。
シャワーを浴びて、ちょっと豪華な朝飯を作る。
豪華と言っても、普段がかなり質素なだけで普通の朝飯。
パンに目玉焼きにソーセージ。
それから付け合せにサラダ、コーンスープ。
と言った具合。
俺にしては豪華な朝飯を手を合わせて食べる。

それから新聞をいつもより読み込んで、テレビのニュースにも耳を傾ける。
新聞はいつになっても読み慣れないけど、面白い記事は面白いと思う。
けど、これを全部読むってなったら一日かかりそうで……なかなか。


そんなこんなをしていると、あっという間に出勤の時間が来る。
俺は堅苦しいスーツを着て、そのまま家を出た。


志乃さんはいま、何をしているだろうか。