3






SMプレイ好きのド変態。
いや、もうあれはSMの域を超えてる気がする。
叩いて首を絞めて、切りつけて。
殺されることはないとは分かってるけど、いつか線を超えそうな気がする。

傷を撫でると思い出される行為。
鏡越しに自分の体を見ながら、顔を歪めた。

本当に何をしているんだという気分になる。
訳も分からないところで、毎日寝て起きてを繰り返して、ただひたすらに犯されて金をもらって、意味がわからない。


「はぁ……」


首の鬱血痕を拭うように擦って、嫌になる。
考えれば考えるほど嫌になる。
言ってしまえばもう、とっくのとうに生きる張り合いなんてない。
見つけられてない。
こんな生活の中で見つけたくもない。


「あ、思い出した。ハル」


そんな風に考えていたら、昨日の最後の客を思い出した。
……なんかすげーむっつりで変態臭いくせに、意外と優しい感じのやつ。
まぁ、顔は悪くないしテクも悪くないんだけど。

そうか、手城が言ってたのはあいつか。

あいつ俺のこと起こさずに毛布にくるんでそのまま帰ったのか。
体拭いて、服まで着せて。
ふー……ん。そういえば俺、あいつのもの抜いてもないじゃん。
起こして無理矢理犯すか、口ん中に突っ込んでくれたっていいのに。
本当に律儀なやつ……てか良く分からない。

まぁ元から風俗に来るようなやつじゃないことは分かってたし、最初すげー抵抗有りそうだった。明らかに連れてこられましたって感じだったし。
しかも俺のファンだって言ってたか。

BLUE BUSTER ふと、昔やっていたバンドの名前を思い出して、笑いそうになる。
懐かしいけど、すべての原因のそれ。
あの頃は何もかもが楽しくて、なんでもできそうな気がしてたのに、不思議だ。
今は何も楽しくない。
思い出したくもない過去と化しているが、思い出さないわけには行かない。
あれは一生俺に付きまとう過去だ。

あまりファンだったやつの相手はしたくない。
けど……まぁ俺の元に来るやつは大体、女の子が足りなかったか俺のファンなんだけど。
手城もなんで俺を充てがったかな。


まーーー、でもいっか。
あいつもう俺に付いただろうし。

客が増えるに越したことはねーし。
あいつ優しいから、楽だし。