6






「っは、はぁ、あ……」


丸めていた体を伸ばして、そのまま後ろに倒れ込んだ志乃さんは、胸を上下させて息をしていた。

俺も、志乃さんのソレから口を離した。

口の周りがベタベタで、思わず拭った。
喉に放たれたそれはとっくのとうに体の中に流れ込んでしまっていたけど、舌の上にもそれは少量残っているっぽかった。

舌を少し窪ませて、そこに留めるようにしていたら、唾液がどんどん溜まっていく。

しょっぱくて、少し苦い。
先走りよりも苦い気がする。


「そこ、ティッシュあるから出せば」


俺が困っているのに気づいたのか、志乃さんが脇にあるティッシュを指さした。
けれど俺は、そのままそれを飲み込んだ。

ごく、ん。と喉がなる音が響いた気がする。

そんな俺を見て、志乃さんは驚いたように目を見開いた。


「お前アホだろ」

「……どうしてですか?」

「いや、飲み込むって」


口の中に残った味がまだ不味い。
それなのに俺は、拭った時に手についたそれまで舐めてとった。


「お前、ゲイなの?」

「ゲイ……じゃないですけど。いや、無いと思うんですけど……?」


志乃さんが気だるそうに体を起こす。
そして、俺の方にぽふっと倒れてくると、そのまま俺の股間に手をやる。
何かと思えば、俺の胸に頬をくっつけるようにして体重を預けてきた。
そして股間にやっていた、その手を動かして、やんわりとそこを揉んでくる。


「ふぅん、そんでセーエキ飲めるなんて相当変態だな……」

「…変態、?…は、志乃さん、揉まないで……」


やわやわと揉まれるその手つきが、やっぱり違う。気持ちよくて、どんどんそこに熱が集まってくるのを、すごく感じる。


「俺だけしてもらってお前にはしねえっておかしいだろ?してやるから……」


とろん、とした目で俺を見上げる志乃さん。
その顔に思わずドキッとしてしまって、また心臓が大きく音を立て始めた。


「あは、心臓すげー……音……。ハル、キスして」

「え……?」

「ん、ほら、しろ、よ」