3 「痛いですか?」 「痛く、ね……けどお前……何してんの……」 まだ痛くないよな、そりゃそうだ。 まだ傷より離れたところを舐めてるし。 いったん舌を口の中に納めて、血を唾液となじませる。 それからまた、今度は傷の近くにキスを落としてから、そのまま舌を出した。 できるだけ舌が柔らかくなることに心掛けて、舐めた。 すると、志乃さんの肩が震えた。 「痛い?」 「チクって」 「ン、痛そうだ。痛かったでしょ、志乃さん」 「あ、……ン、ん」 血の味が濃くなる。 そのまま傷に沿って、舌を動かしたら、少しだけ今までと違うような声が聞こえて、思わず俺は舌の動きを止めた。 「志乃さん?」 「くすぐってぇ……」 「傷口の近くって敏感になってるんですかね?」 そのまま傷口をべろっと舐めあげて、肩口にある歯形にキスをした。 なんだか、その歯形をつけた人とキスをしてる気分になって嫌だったけど、早く治ってほしくてそっと唇を落としておいた。 |