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「痛いですか?」

「痛く、ね……けどお前……何してんの……」


まだ痛くないよな、そりゃそうだ。
まだ傷より離れたところを舐めてるし。
いったん舌を口の中に納めて、血を唾液となじませる。
それからまた、今度は傷の近くにキスを落としてから、そのまま舌を出した。

できるだけ舌が柔らかくなることに心掛けて、舐めた。
すると、志乃さんの肩が震えた。


「痛い?」

「チクって」

「ン、痛そうだ。痛かったでしょ、志乃さん」

「あ、……ン、ん」


血の味が濃くなる。
そのまま傷に沿って、舌を動かしたら、少しだけ今までと違うような声が聞こえて、思わず俺は舌の動きを止めた。


「志乃さん?」

「くすぐってぇ……」

「傷口の近くって敏感になってるんですかね?」


そのまま傷口をべろっと舐めあげて、肩口にある歯形にキスをした。
なんだか、その歯形をつけた人とキスをしてる気分になって嫌だったけど、早く治ってほしくてそっと唇を落としておいた。