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「なんか飲む?それとも…なんかしたいことある?……付き合うつもりだけど落ちたら勘弁な。落ちたら落ちたって言ったら安くしてくれるはず。」


はは、と笑ったシノは、そのまま俺の頭をポンポンと二度叩くとそのまま俺から体を離した。

落ちるとか落ないとか。
そういうのいう時点でこの人は結構限界に近いんだと思う。
ピッチャーに入ってる水をコップに入れて、煽る。
ごくっごくっという大げさな音と、動く喉仏。
相変わらず魅力的だと思うけど、その下の跡が痛々しい。


「そんなのいいですよ。俺、会いたかっただけなんで」

「会いたいだけで風俗来んのかお前は」

「……会わないといけなかったんですよ」

「なんだそりゃ」

「あー、何かください。お酒じゃない方がいいな。」

「……明日も仕事?」



シノが着ていたのであろう服が隅に投げてあった。
俺はそれを手に取ると、シノの隣に行くついでに持っていった。


「……どうしましょうかね。これ、着てください」

「脱がすんだから別にいいだろ、着なくても」

「寒いでしょう」

「寒くねぇよ。明日仕事じゃねーんならさぁ、飲めば?お前酒弱いっていいながら弱くねぇだろ」


オレンジジュースが残り少ないのか、耳元で揺らして中身を確かめるシノ。
お酒本当に弱いんだけどなぁ、俺。
確かに吐いたりとか、意識飛んだりすることはしたことないけど。
すぐふわふわするし。


「水で」

「おい」

「酔ってシノさんをめちゃくちゃにしたらいけないから」

「別にすれば?そういうとこじゃん?」

「そんなに痛そうな体に、俺はできないです」

「気遣いどうも。否定はしねーよ」


シノに触れたくなって、思わず髪の毛に触れた。
すると、シノの動きはピタっと一瞬止まって、状況を理解したのかまた動き出した。

グラスには水が注がれた。