4 居るのかな、なんて考えながら腕を組む。 帰るなら今だよなぁ。 ……、はぁ……。 外装は本当にカラオケ。 なんでこんなカラオケみたいなとこなのかっていうと、多分あんまり人を寄せ付けたくないからだと思う。 元芸能人だし、おおっぴらになるといろいろめんどくさいんだろう。 まんまカラオケの癖に、変に電飾をつけてるからなんかもう、なんとも言えない怪しい雰囲気が出ている。 わざわざ自動ドアを手動ドアに取り替えちゃったりして。 俺は、ゆっくりとそのドアを押した。 「いらっしゃいませ……お一人様、ですか?」 中は少し薄暗い。 オレンジの明かりがほんのりと辺りを照らしていて、お互いの顔ははっきりと見えない。 俺は、少しだけ頷くと、そのままボーイのいる方に向かう。 前の彼と違うのかと思ったけど、前の彼を覚えてない。 「会員証はお持ちですか?」 「あぁ、いえ。」 「初めてですか?」 「いえ。」 「では、前回は」 「連れの紹介です。」 誰かに見られてないだろうか。 なんて変な心配をしながらそわそわする。 けど、周りを見渡す勇気もない。 早く終わらせてしまいたくて、俺は質問をブツブツと切りながら回答していく。 「わかりました。お名前をお伺いしてもよろしいですか?」 「えっ」 「本名じゃなくても結構です。店の方で呼ぶ名前なので」 「あぁ、じゃあ……ハル……遥幸で……」 「わかりました。遥幸様ですね、本日はご希望の子とかいらっしゃいますか?」 ドクッと、心臓が鳴る。 顔写真がならんだそこに目を向けることもなく、俺は変な位置に視線を飛ばしながら口を開いた。 「シノ、で」 「わかりました。都志乃ですね。」 「みやこ……しの……」 |