2 時刻は1時30分過ぎ。 俺はある風俗店を訪れていた。 もちろん、自発的に来たのではない。 呑んだくれた上司に連れてこられた。 俺が現在彼女が居ないと口を滑らせたら、『いつからヤってないんだ?』なんて下世話な話に繋がって……なぜかここに至ってしまった。 古びたわざとらしいネオンは、どこか昭和……というか、レトロを感じさせる。 いかにもな雰囲気を感じながら、俺は今すぐ帰りたい気持ちでいっぱいだった。 俺は彼女がいないからと言って風俗に行くような人間でもなく、ましてやそんな考えは微塵も浮かんだことがなかった。 そこまで性欲が強いわけじゃないし、一人ですれば欲は満たせる。 しかも、風俗店は病気が蔓延してそうだし、なによりそんな風に慣れた女の人としたくないっていうのもあった。 だから、俺の中には風俗に行くなんて考えはハナからなかったのだ。 それなのに上司は、何を言っても引き下がってはくれず、終いには……… 『これも社会勉強だと思って。どうしても嫌だったら話相手にもなってくれるから』 なんて言い出しやがった。 …結局お前が行きたいだけじゃないか。 思わず溜息を吐きそうになるが、上司だから文句も言えない。 向こうだって相当なセックス好きとか、無駄にプロ意識高い人じゃなきゃがっつかれて、したくないことをしなきゃいけないみたいなことはないだろうけど…。 とりあえずすごく気が重い……。 |