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「小早川さんが、セックスしたのは、誰ですか?」

「……なんでそこまで聞きたがるんだよ」


課長はこっちのことなど気にせずに、扇子で仰ぎながらネットサーフィンしている。
誰かこいつを引き取ってくれる人は居ないかと周りを見渡してみるが、みんな知らないふりをして自分の仕事をしている。

こいつはいつもそうだ。
いくら仕事をしているから邪魔をするなといっても、同時に二つできないことないっすよね?なんて言ってくる。
お前の周りみんなハイスペックだと思うなよ。
けど、俺も変にプライドがあるから、できないなんて言えないし、うまくこいつに乗せられていつも話をして、仕事が終わらずに残業ルート。
話をしていたからできなかったわけで、当然残業代は出ない。

子守も大概にして欲しい。


「だって俺そういうの全く知らないし?かといって兄貴も教えてくれないっすもん。」

「課長に聞いたら?」

「聞けると思うっすか?」


思うよ。
なんて思うけど、課長から俺にもう一度押し付け返されるのは目に見えてわかっている。


「どんな人だった?おっぱいおっきい?」

「コラ」

「グラドルとか多そう……あと少し前のプライド高そうな女優?」


そういえば、俺ほかに誰がいるかとか知らないな。シノはプライドの高いバンドボーカル……なのかな……。


「知らないよ」

「早川さんむっつりスケベっすよね」

「関係なくない?!」


一応気を使ってくれてるのか、周りに聞こえないほどの声で喋ってくるせいです耳がくすぐったい。

そういえば、シノも俺のことをむっつりとか言ってた気がする。
むっつりって言って、こいつみたいにニヤニヤ笑ってた。


「あ、思い出してる」

「は?!」

「早川さん、声おっきいっす」


シーっといわれて思わずムッとする。
お前のせいだろ……。