2 着いたその場所はいつものようにきらびやかな場所ではなかった。 光が落とされて、どこも光ってないその建物は今すぐ魔物に化けて、俺達を食べてしまいそうだ。 「開いて……ないね。当たり前か。」 入口は閉まっていた。 どうやって中に入ればいいかわからない。 苛立ち混じりに何度もガチャガチャとしていると、中から女の人が顔を覗かせた。 「うるさいな……なぁに。営業終わってるんだけど。ボーイもいないでしょ?」 「あぁ、えと、中に用があって」 「あのねぇ、用があるって言われたって入れるわけないでしょ??」 化粧をしているバッチリな顔。 赤い唇を動かしながら、服を着直すその女の人。 香水の臭いがとてもキツい。 「あの、志乃さんの」 「なに、あんたイケメンじゃん?と思ったらゲイなの?その隣の子も?」 「えっと……」 「やぁーも。あの子に客どんどん取られてくの。みんなホモよ。まったく。志乃がなに?志乃ならなんか、時間外業務中よ。なんでも大金持ちに買われたんだって。」 女の人が嫌悪感を顕にしながら話す。 志乃さんの悪口もいい、その大金持ちに用があるんだよ俺らは。 どうしよう。 どうしたって突破できない。 だってそうだよな。 突然風俗に来て入れろっつったって入れるわけがない。 「私楢崎家のものです。その志乃さんを買った張本人の関係者なのですが、入れてはもらえないでしょうか。」 そう思っていたら千尋くんが口を開く。 女の人は少しだけ目をぱちくりさせるとんー、と口を結んだ。 「入れてもいいのかな……でもその名前を知ってるってことは関係者ってことよね……。んー……ねえ、私が入れたって言わないでね?」 「入れてくれるんですか?」 「秘密よ。その代わりあんたたちが何をしても、どうなっても責任は取らないわ」 女の人は顔を少し不機嫌にさせると、扉を大きく開けてくれた。 俺達は中に踏み込んだ。 |