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誰が行くか。
もう行かない。

お金だしてセックスするって意味わからないし、誰とヤったのかわかんない人とシたくないし。

そもそも、セックスって俺の中では好きな人とするもので。
子作りするためとか、そんな純情なことは言わないけど、コミュニケーションを取るためだと思ってる。
一度その理由以外で寝たことがあるのは否定しないけど……あれは完全なる黒歴史だ。
なんだっけ、受験勉強でイライラしてたんだっけ……うー……わー……。
自分を正当化するつもりもないけど、向こうもそれなりに悪かったと思うんだ。
……思う。


まぁとりあえず、俺は性欲発散のためだけのセックスはしたくない。

なんていうの、相手の体に入るってことはなんかまぁ、それなりに責任を取らなきゃいけない気がするし。
相手にもそこそこそれは求めて欲しいし。
あ、なんか俺ちょっと言ってること矛盾してる気がするけどまぁいっか。


「早川さん!」

「……おい」

「はい?」


キラキラとした声が聞こえて、俺はいやいや振り返った。
そこには、当然のごとくその声の主がいるわけで。
この声の主のせいで俺はきゅっと口を結んだ。


「俺の名前は小早川だ」

「えー、いいじゃないっすか、小早川より早川の方がいいっすよ!むしろ大早川!」

「うるさい。頭が痛いんだ」

「またまたぁー聞きましたよ、課長からっ!」


近くから椅子を引っ張って俺の隣に座り込むのは金髪の男。
社員ではなくバイトだ。
ここに入ってもうすぐ一年と半年。
そろそろ慣れてきた頃だろうとかいいながら、入ってきたコイツの世話係に任命された俺だ。

正直コイツのことは嫌い。


「聞いた?なにを」

「昨日いったところっすよーん」


俺を上目遣いで見つめて、ニヤニヤと笑う顔。
どうして課長は話してしまったんだ。
俺ははぁあーーーーっと息を吐くと手を振った。