3





「ほら、もっと可愛い事言ってよ志乃くん。」


キャンキャンと吠えていた志乃の口に宛てがわれる一人の男のソレ。
志乃は一瞬不快そうに顔を歪めると、ぎゅっと口を噤んだ。


「志乃くん?できないの?」


閉じた口に擦り付ける。
口を開けと言っているようで、それを見ていた俺は吐き気さえしてきた。

あんなものを口に擦り付けられる。
たまったものじゃない。


「できないのかなぁ?志乃くんできないなら他の人にしてもらおうか?ねぇ?」


さっきから手城手城と呼んでいた男を睨んでいた志乃は、その言葉で突然怯えたような目を見せる。
そしてソレを擦り付ける相手を見上げると、おずおずと口を開いた。


「いい子だ。志乃くん。」


男の手が志乃の頭を撫でる。
その開いた口には一気に宛がわれていたモノが奥まで突き刺された。

おえっと餌付くような声を上げた志乃。

思わず俺も口を抑えた。


「物好きですよねぇ彼。」


そんな俺を見て、手城という男が笑った。


「最初は抵抗あったみたいなんですけど、ああやって美味しそうにくわえ込むんですって。お客様にはとても喜んでもらっていますよ。」


試しにどうですか?、気持ちいいらしいですよ?
と付け加えられて、俺の目が開かれるのを感じる。


「……いいです。病気もらいそうで」

「はは、懸命な判断だ。ミイラ取りがミイラになっちゃったらいけませんもんね。」


ミイラ取りがミイラに?
一々癇に障る一言を残す相手に怒りを覚える。
何かいいかえしてやろうかと思った時には男はもうビデオカメラを覗いていた。

舌打ちを打ちたいのを我慢して前に目を戻す。


「いいよぉ、志乃くん。もっと喉使おうか。」

「っぐ、……っご、は……っ」


頭を掴まれて男のいきり立ったモノが、みるみる志乃の口の中に入っていく。

そんな、したら……、吐くだろう。

志乃の顔がみるみる赤くなって、胸の方まで赤くなっていく。

痛々しい程の光景に、思わず目を離したくなってしまう。