2 聞かれてしまっては答えるしかない。 そして男の顔をみれば『yes』と答えるしかない。 けれどここからどうなるのか、予測ができてしまった俺の口からその言葉は出てくれなかった。 確かに、お仕置きが必要だと……思ったけど。 「そうですね。いいですよ。」 反応をしない俺を見かねたのか、隣の男は手をパンとひとつ叩いて合図を出した。 「そうこなくっちゃなぁ。」 「めったにない機会ですので、たっぷり満足して帰ってくださいね。」 「当たり前だろ。」 志乃から離れていた男が、合図に気を良くするとまた志乃に近づいていく。 「ようし、始めようか志乃くん。」 「……っ、俺今……営業時間外なんすけど、」 「んん?なんだって?」 パシンっと男の手が志乃の体を頬を叩いた。 正面を向いていた志乃の顔が横に向く。 「っ、……」 「お客様にはいつだって接待しなきゃいけないでしょ?ねぇ、志乃くん。」 「……っ、はい」 志乃が頬を抑えたまま、こくりと頷く。 その様子に奥の方から滲み出るように嫌悪感が溢れてくる。 さっきと大した違いじゃないか。 「手城さぁん、そのカメラ動いてんの?」 「え?あぁ。動いてますよ。」 「そう、そりゃいい。あんたら出ていくなよ?この志乃がどれだけ可愛くなるのかちゃんと見といてくれよ。」 汚いおっさんに囲まれて、膝立ちにされている志乃の目は完全に光を無くしている。 顎を掴まれてカメラを見させられているその顔は、俺の恐怖しか煽らない。 「都さん。可愛いですよ。」 「手城テメェ覚えとけよ」 そんな中、俺の隣にいる男はビデオカメラのモニターを見てニッコリと笑った。 「だって都さん痛いの好きでしょ?痛いのも気持ちいい淫乱ですもんね?」 「クソが……っ」 ギロりと睨みながら周りの男に撫で回される志乃。 客だから拒めないのだろうか。 その姿が本当に売春婦にしかみえない。 汚い、汚れている。 |