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聞かれてしまっては答えるしかない。
そして男の顔をみれば『yes』と答えるしかない。
けれどここからどうなるのか、予測ができてしまった俺の口からその言葉は出てくれなかった。
確かに、お仕置きが必要だと……思ったけど。



「そうですね。いいですよ。」


反応をしない俺を見かねたのか、隣の男は手をパンとひとつ叩いて合図を出した。


「そうこなくっちゃなぁ。」

「めったにない機会ですので、たっぷり満足して帰ってくださいね。」

「当たり前だろ。」


志乃から離れていた男が、合図に気を良くするとまた志乃に近づいていく。


「ようし、始めようか志乃くん。」

「……っ、俺今……営業時間外なんすけど、」

「んん?なんだって?」


パシンっと男の手が志乃の体を頬を叩いた。
正面を向いていた志乃の顔が横に向く。


「っ、……」

「お客様にはいつだって接待しなきゃいけないでしょ?ねぇ、志乃くん。」

「……っ、はい」


志乃が頬を抑えたまま、こくりと頷く。
その様子に奥の方から滲み出るように嫌悪感が溢れてくる。

さっきと大した違いじゃないか。



「手城さぁん、そのカメラ動いてんの?」

「え?あぁ。動いてますよ。」

「そう、そりゃいい。あんたら出ていくなよ?この志乃がどれだけ可愛くなるのかちゃんと見といてくれよ。」


汚いおっさんに囲まれて、膝立ちにされている志乃の目は完全に光を無くしている。
顎を掴まれてカメラを見させられているその顔は、俺の恐怖しか煽らない。


「都さん。可愛いですよ。」

「手城テメェ覚えとけよ」


そんな中、俺の隣にいる男はビデオカメラのモニターを見てニッコリと笑った。


「だって都さん痛いの好きでしょ?痛いのも気持ちいい淫乱ですもんね?」

「クソが……っ」


ギロりと睨みながら周りの男に撫で回される志乃。
客だから拒めないのだろうか。
その姿が本当に売春婦にしかみえない。
汚い、汚れている。