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「ほんっと、馬鹿。」


志乃が俺を睨みながら顔を歪ませてみせる。
その顔に怯みそうになる。
けどここで負けてはいけない。
そう思って俺は必死に睨み返す。
自分の行動を正当化している以上ここで怯んでしまっては、いけない。


「頭の悪い人は嫌いだな。こんな状況なのにまだ何もわかってないんですか。」


その頬から手を離して、脱ぎ捨てられた服でその手を拭う。
それでもまだ手は汚い気がした。
汚い服で汚れを拭ったって汚れは落ちない。


「はは、もう打つ手なしか?こんなん慣れてんだよ俺は。」


そんな俺を見て志乃はバカにするように笑った。
本当に、本当に気に入らない。
さっきはあんなに悲鳴を上げて、怯えて、善がっていたくせに。
もっと、お仕置きが……必要だ。


「楢崎さん?」


俺がドアの付近まで戻ると、メガネの男が俺を見て様子をうかがうように首をかしげた。


「応えてないみたいだ。」

「でしょうね。」


皮肉たっぷりにそう言うと、隣の男は口角を上げながら志乃を見た。


「でしょうねって」

「楢崎さん、こんな時のために私、最高のゲストを用意しておいたんです。」

「え?」


なんのことだ。
俺は何も聞いてないぞ。

突然男が立ち上がって俺を見た。
その顔は楽しそうだ。

それを見て俺の背筋には悪寒が走った。


「彼は淫乱で……ドMですからね……。こんな普通のセックスじゃ満足出来ないんですよ。うちの看板商品ですから。」


ガチャり、と音がする。
振り返れば、見たことのない男が数人ぞろぞろと入ってくる。