3 「ほんっと、馬鹿。」 志乃が俺を睨みながら顔を歪ませてみせる。 その顔に怯みそうになる。 けどここで負けてはいけない。 そう思って俺は必死に睨み返す。 自分の行動を正当化している以上ここで怯んでしまっては、いけない。 「頭の悪い人は嫌いだな。こんな状況なのにまだ何もわかってないんですか。」 その頬から手を離して、脱ぎ捨てられた服でその手を拭う。 それでもまだ手は汚い気がした。 汚い服で汚れを拭ったって汚れは落ちない。 「はは、もう打つ手なしか?こんなん慣れてんだよ俺は。」 そんな俺を見て志乃はバカにするように笑った。 本当に、本当に気に入らない。 さっきはあんなに悲鳴を上げて、怯えて、善がっていたくせに。 もっと、お仕置きが……必要だ。 「楢崎さん?」 俺がドアの付近まで戻ると、メガネの男が俺を見て様子をうかがうように首をかしげた。 「応えてないみたいだ。」 「でしょうね。」 皮肉たっぷりにそう言うと、隣の男は口角を上げながら志乃を見た。 「でしょうねって」 「楢崎さん、こんな時のために私、最高のゲストを用意しておいたんです。」 「え?」 なんのことだ。 俺は何も聞いてないぞ。 突然男が立ち上がって俺を見た。 その顔は楽しそうだ。 それを見て俺の背筋には悪寒が走った。 「彼は淫乱で……ドMですからね……。こんな普通のセックスじゃ満足出来ないんですよ。うちの看板商品ですから。」 ガチャり、と音がする。 振り返れば、見たことのない男が数人ぞろぞろと入ってくる。 |