5





「人間の体って意外と丈夫だよね。ほら、意外と折れないよ」

「っやめ、やめろ、っげほ!っは……く」


肺が思うように膨らんでくれないからか、息が入ってこなくて頭がくらくらしてくる。
その間も足はずっと押し付けられていて、徐々に骨が形を変えていっている気がする。


「折れ、る……っは、う……っ」

「やめてくださいって言って」

「……っ、は?」

「やめてくださいお願いします。ほら。」

「……なんで……は、そんな、」

「折っちゃうよ?いいの?この言葉いうだけでやめてあげるって言ってんだよ?」


ぐりぐりっと足で胸をにじり踏まれる。
皮膚が破れそうなほど縒れて、猛烈な痛みが襲ってくる。

なんで、なんで俺がこんな奴に、そんな言葉を。
いやだ。


「やめ……す」

「なに?聞こえない。ねぇちょっと押さえてて」


手城がこっちに来て俺の肩を押さえつける。
手城の手がいつも俺を開放してくれる手と、あんまりにも変わらないから胸が締め付けられた。
クソ、クソ……ッ。

足が思いっきり振り上げられて、勢い良く振り下ろされる。
背筋にゾクッと悪寒が走って俺は大きく息を吸い込んだ。


「や!やめてくださいお願いします!!!」


ギリギリ、触れるか触れないかのところで止まった足。
ゆっくりとその足は俺の胸に落ちて、そのまま元の位置に戻った。

安堵と共に、背中にはじっとりと冷や汗をかいていた。


「情けないね。俺に屈服して。気分はどう?」


手城が俺を開放して、放心していたら金髪が俺を見下ろして笑った。


「隼也くん、勃ったよ。」

「あ、ほんと?じゃあ好きにして下さい」

「りょーかい。シノさん、いっぱい善がってね?」