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「ねぇ、遅いんだけど。いつまで暇かけてるつもり。俺だって暇じゃないんだよね。」


ジンが俺の服を脱がせようとするのに抵抗していたらジンの声じゃない声が聞こえた。

イライラしているのかタバコを吸いながら足を貧乏ゆすりさせている。


「そろそろ観念してくれない?始まってもないのに20分近くかかってんだけど。あんたも早く解放されたいだろ?やられたいようにされてる方が楽だと思うよ」

「……っだれが!つぅか、何の真似だよ、こんなことしたってお前は何の得もしねーじゃねえか!!」


俺がこいつとヤったって、何も変わらない。
そのビデオをハルに見せるつもりか?
横流しするっつっても金ならあるだろ。
ハルに見せるとしても関係ない。
ハルはここで俺が働いてることを知ってるんだから。


「往生際悪いな、今までさんざん脱いできたんだろ。今さらそのズボン脱いだって何も変わんないじゃん。」


「……っ、」


たしかにそう、そうだけど。

ジンが隙を見ては俺を脱がそうとする。
けど俺は必死に抵抗する。

夢中になっていたら、不意に足音が聞こえて自分の顔を覆うような影が出来た。
それを感じた俺はそっちに目を移した。

すると視界に入ったのは靴の裏。

反射的に目を瞑れば、ドンッと大きな刺激が体中に響いた。


「……っう!」

「あのさぁ、俺言ったじゃん。どうなるか分かってるよねって。なのにあんたはそれを無視したんじゃん。こうなること分かってたんじゃないの?」


肋が、折れる……!肺が、潰れる……!

足が俺の胸に乗って押しつぶすように力をかけてくる。
息が苦しくなってきて、痛くて俺はその足を外そうと足首あたりを掴んだ。


「隼也くん、死んじゃうよ」

「死なないよ。死ぬわけない」

「あはは、こっえー……。あー、俺勃つかなぁ……」

「勃たせてもらわなきゃ困るよ。」

「だよねー。分かってる。」


喉の奥が鳴って、骨もミシミシと音を立てている気がする。
靴の裏が皮膚にめり込んで痛い。
折れる、折れる、痛い。


「ぐ……か、ふ……ぅ、いた、」

「折れる?」

「折れ、折れる、折れる……!」

「1本ぐらい折れてもいーんじゃない?沢山あるんだし」

「っ!やめ、ろ……やめ、やめ……!」