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「都さん……あー、ちょっともう、髪の毛ぐらい拭いてくれます?」

「うっせーなお前は俺のかーちゃんか」


シャワーを浴びた体に適当な服を見繕って身につけた俺は、持ち場に戻ってタバコを吸っていた。
ちらりと俺を覗いた手城が眉をひん曲げて濡れたカーペットを指さす。


「あと、ここで煙草吸わないでくださいって言ってるじゃないですか」

「なんでだよ」

「都さんの部屋だけすごい黄色いんですから……」

「客だって吸うんだから俺が吸ったって関係ねぇだろ」

「あんた重度のヘビースモーカーっていう自覚あります?」

「……それはまぁ、あれだ。」

「どれですか。」


部屋に入ってきた手城がゴミ箱やらクーラーボックスやらを回収すると外の黒子に渡す。

ほんとこいつはいっつもいっつもくどくどと、うるせぇ。
鼻くそをほじって飛ばしたら怒られた。


「都さん」

「んー」

「それ、都さん持ってましたっけ?」


短くなった煙草を灰皿に押し付けて消したら、手城が俺の服を指差す。
そう言えばこれはハルにもらったやつだっけか。

いつだったか、多分あの雨の日、のような気もする。
そういえば俺の服返してもらってねぇや。
あいつ、まだ枕元に置いてんじゃねーだろうな。

少しデカめの服は全然体格に見合ってなくて、ダボッとした袖は捲ってもすぐに落ちてくる。


「さーあ、覚えてねぇなぁ」

「そうですか。あ、後で俺がくるんでその時までここいてくれます?」

「はぁ?なんで。」

「話があるんですよ。」

「わーったよ、待ってりゃいいんだろ」