1 「ん、んー……んー……」 うるさい。 耳元でピピピと嫌なほどに耳につく音を振り払うように俺は暗闇の中手を伸ばす。 ない、ない、ない。 どこにある? 俺が目をつむっているのはわかってる。 だけど今究極に開けたくない。 時間を確認しなければいけないんだけどしたくない。 「んぁーーー、どこだよーーー……」 見つからない焦れったい。 悪魔の目覚まし時計が見つからない。 あーーー!もううぜえ! そう思って手を振り回した時だった。 ガシャンっと大きな音がして、耳障りだった音が鳴り止む。 その瞬間俺の体も覚醒してしまって飛び起きた。 「……おいおい……」 慌ててベッド辛味を乗り出してみたら、案の定目覚まし時計は壊れていた。 今月で何台目だ? いつもこうやって壊すんだから、ちょっと目を開ければいいのに。 いつもこれができない。 気を抜いたら閉じてしまいそうな目をこじ開けて、俺はその時計を拾った。 目がしょぼしょぼする。 コーヒーでも飲んで目を覚まそう。 ゆっくりと体を起こして、とりあえずベッドに座る。 「っ……ーーー。」 すると襲ってくる頭痛。 全身を包み込む倦怠感。 なんだ?このだるさ。 胃がムカムカするし、腰はしんどいし、なんか全体的にしんどい。 スッキリしてる気もするのに、しんどい。 ほんと、しんどいって言葉がぴったりだと思う。 二日酔い? もしかして二日酔いなのか……? あまりの体のだるさに、俺は思わずそのまま後ろに倒れ込んでしまった。 仕事、行かなきゃ……。 |