5 「そういう隼也もでしょ」 「え?」 「はぁ、なんでもない。」 なんだかこの話をするのは自分からしておいて嫌になる。 早川さんも同じだったみたいで、手元にある水を口に含んでいた。 俺はそれを見てから目を逸らす。 あの一件以来、恋愛関連はやっぱり気を使わせているみたいだ。 「隼也、何にする?」 「あ、はい?」 バイトの子や店内を見回していたら早川さんの声が耳に飛び込んでくる。 俺は慌てて早川さんに向き直る。 早川さんは俺の前にメニューを広げて指さしていた。 「早川さんは?」 「俺は今日は醤油とんこつかな」 「いつもそれなんすか?」 「いやー、どれもおいしいから来るたびちがうかな。」 「へー、早川さんのおすすめは何なんすか?」 どれも美味しそうだ。 あっさり系からこってり系まであるなんて珍しい気がする。 「塩ラーメンとか美味しいよ。ゆず醤油とかも美味しいね」 「あっさり味ばっかり。」 「こってりがすき?とんこつとか味噌も美味しいよ?」 これはどんな感じで美味しい、とか教えてくれる早川さんに思わず笑みがこぼれる。 本当に幸せだなーこの空間。 二回目の食事。 二回ともラーメンなせいで、俺ラーメンが超好きになりそう。 「何笑ってんの」 「いやー何でもないっす。じゃあ俺塩ラーメンで」 「了解。」 早川さんが店員さんを呼んでラーメンを頼む。 とんこつ醤油ラーメンと、塩ラーメン。 それから、餃子。 |