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ケータイを見てはため息を吐き、しばらく悩むような顔をしてそれからまた見る。
何かを打つような格好をして、それからまたケータイをポケットにしまうとため息を吐く。

誰が見てもわかる。

連絡が取れてないんだと。

そんな早川さんに俺は白々しく今日は話しかけてみることにした。
忙しい時期もそろそろ終わりそうだ。
終わったらきっと早川さんは即刻志乃に会いに行くだろう。


「はーやかわさんっ」

「なんだ……隼也か」


早川さんは俺をちらりと見るとすぐに目を離した。今は休憩だから、特に何もしてない。
いつもなら休憩時間でも仕事を片付けようとする早川さんだけど、今の時期は忙しくて休みは休みたいっぽい。


「隼也ですよ」

「どうした。なんか話か?」


前よりも少しだけ優しくなった早川さんが俺と話してくれる。
そうやって中途半端だから、なかなか嫌いになれないんだろうな。
早川さんよく元カノをストーカーにするって話を早川さんのお姉さんに聞いてたけど、それは仕方ないと思った。


「少し。いいっすか?」

「うん、いいよ。」


俺の方を全く見ない早川さんだけど、口調は割と柔らかい。背中に哀愁が漂っているのは多分都志乃関連だろう。

……胸の中がモヤっとして、それをぬぐってしまいたくなる。


「最近忙しいっすけど、ちゃんと寝れてるっすか?」

「……え?あぁ、うん。まぁね……」


かなり元気がない声を聞きながら、俺は早川さんの椅子の背もたれに手を置いた。

……触れ、たい。
触りたいな……。