2 ケータイを見てはため息を吐き、しばらく悩むような顔をしてそれからまた見る。 何かを打つような格好をして、それからまたケータイをポケットにしまうとため息を吐く。 誰が見てもわかる。 連絡が取れてないんだと。 そんな早川さんに俺は白々しく今日は話しかけてみることにした。 忙しい時期もそろそろ終わりそうだ。 終わったらきっと早川さんは即刻志乃に会いに行くだろう。 「はーやかわさんっ」 「なんだ……隼也か」 早川さんは俺をちらりと見るとすぐに目を離した。今は休憩だから、特に何もしてない。 いつもなら休憩時間でも仕事を片付けようとする早川さんだけど、今の時期は忙しくて休みは休みたいっぽい。 「隼也ですよ」 「どうした。なんか話か?」 前よりも少しだけ優しくなった早川さんが俺と話してくれる。 そうやって中途半端だから、なかなか嫌いになれないんだろうな。 早川さんよく元カノをストーカーにするって話を早川さんのお姉さんに聞いてたけど、それは仕方ないと思った。 「少し。いいっすか?」 「うん、いいよ。」 俺の方を全く見ない早川さんだけど、口調は割と柔らかい。背中に哀愁が漂っているのは多分都志乃関連だろう。 ……胸の中がモヤっとして、それをぬぐってしまいたくなる。 「最近忙しいっすけど、ちゃんと寝れてるっすか?」 「……え?あぁ、うん。まぁね……」 かなり元気がない声を聞きながら、俺は早川さんの椅子の背もたれに手を置いた。 ……触れ、たい。 触りたいな……。 |