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都志乃に会ってからもうしばらく経つ。


「隼也これしといてよ。」

「あぁ、わかりました。しとくっす。」


早川さんとは相変わらずつかず離れずな距離で、なんとなく……気まずい雰囲気が流れてる。

それは俺が流してるのか、早川さんが流してるのかはわからないけど、早川さんが俺に気を使ってるのは分かる。

まぁ、確かにあれだけヒステリックに喚けばそうなっちゃうよな……なんて思ったり。


早川さんの好きな人、もといBLUEBUSTERのshino改め都志乃は、ライブ映像とCDジャケットでは見たことあったが、実際にしっかり見てみてもまんまだった。

特別綺麗ではないけど、イケメンでは絶対にある顔。整っている。だけど、整いすぎて逆に特徴が捉えにくいというか。
万人受けする顔だった。

綺麗すぎて近づけないこともなければ、隣に置きたくないほどの顔でもない。


だからこそ、飽きられる顔だと思った。


歌声だってそうだ。

顔同様、万人受けする声だけど特に耳に残らない通り過ぎてしまう。


俺は彼にシナリオ通りの条件を突きつけたけど、あの人をもう一度歌手活動に復帰させるのは少し難しい問題かもしれない。

あれだけ情報が漏洩していると、世間に表立って晒された時どうやっても活動が阻まれる。

まぁ、約束を破るつもりは無いけど。


「はい、やっときましたよ」


俺は、早川さんに頼まれていた仕事を終わらせると早川さんに渡した。
約束をあの人が守ってる守ってない、というのはすぐにわかる。
なぜなら、早川さんはわかりやすいからだ。