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この温度じゃない。
この大きさじゃない。
この、手じゃない。


「は……っぁ、う!」


俺は、こんな男じゃなくて……ハルに触ってほしい。


「……っ、志乃……くん!」

「あっ、あぁっあ!」


パチュンッと音がして、奥にずんっと刺激が走った。
自分の世界に入りそうになった意識がそれで引き戻されて、俺は壁に頭を擦り付けて首を振った。

なに、何考えてんだ俺。
ハルに触って欲しい?

うそ、だろ。

ちがう、そんなんじゃ、ない。


「きもちいい?ここ、きゅんきゅん締まるね?」

「うぁ、や……やだ……っ」

「やだっていうわりにはすごく奥まで引き込んでくるよ……ナカすごくうねってえっちだね……」


頭の中で否定するのに、頭の中に出てくるのは考えようとすることとは全く反対のこと。

声のトーン、俺のいじめ方。
それから触り方。

意識すればするほど今自分を触っている男と思い出している男では似ても似つかなくて、嫌だと強く思ってしまう。
いつもだってそりゃ、嫌だけど……こんな、風に。
そうじゃなくてこう触って欲しいだなんて思わない。


「んぁ、あ……ぅ……っは」


やばい、やばいぞ、それはだめだ。

やめろ、そう思うのに俺の頭の中は勝手にハルとバックでした時を思い出す。
ハルは腰を掴んで、ゆっくりと抜き差しをしてそれから……『もう俺動きませんよ』なんて言って俺に腰を振らせたりして……。

思い出して思わず腰を振る。


「は、……んん、はぅ……っ」


けれど当たり前のごとく俺の望む返事は返ってこない。


「どうしたの?志乃くん……かわいいね……自分でお尻振ってる。」

「んぁ……あぅ……」




どうしよう。

俺は昨日ハルから来たきり返してないメールを思い出した。

『大丈夫ですか?』

……どうしたらいい。

…………、ハル。