2 死にそうだ。 毎年この時期に来るこの多忙さ。 今こそ働いてくれよ!って時期なのに隼也はバイトの時間を減らすし。 一体何考えてるんだあいつは。 猫の手でも借りたい時だっていうのに。 なんとか終電に乗った俺は、そのまま空いた電車の座席に座った。 癒しが欲しい。 疲れてどうにかなりそうだ。 志乃さんに会いたい。 志乃さんに会って抱きしめたい。 志乃さんの顔が見たい。 あー……声だけでもいい。 もうむしろ、志乃さんを感じられるならなんでもいい。 ぐったりと座席にも垂れて、そんなことを考える。 持っている右手のカバンの中を漁る。 そして音楽プレイヤーを見つけ出してイヤホンをすると、ブルーバスターを再生した。 ちらりと見えた、鞄の中のやらなければいけない仕事。 帰ってからも仕事だ。 あぁ、会いに行く暇なんて、ない。 「はぁー……。」 俺は、天を仰ぎため息を吐く。 あ、そうだ。 志乃さんにメールしたんだった。 返事、返ってきてるだろうか。 この前ラーメン屋に行った時、志乃さんが今度は寿司が食いたいとか言ってたから、この忙しいのが終わったら行こうって言ってたんだよなぁ。 |