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仕事が急に忙しくなった。
まぁ、忙しくなる時期なんだけど。

隼也もあれから気まずいのか少しだけバイトの日数を減らしているようだった。
かといって以前と態度が変わることは無い。
至って普通。
気があるような素振りを見せるのは前からだし、少し距離が近いのも前から。
だけど、前より近くなることもないし、かといって不信感を抱くような距離のとり方もしない。

俺が気を使わないように配慮してるんだろうか。

俺一人で考えてみたって分からない。

隼也を見てみれば、今日もあいかわらず能天気そうな顔をしているだけで、特に複雑そうなことを考えてる様子なんて、ぜんぜんない。


俺は、1人はぁ、とため息を吐いてケータイを見る。


志乃さんとは、あのラーメン屋以降一度も会っていない。

別に興味がなくなったとかそんなのではなく、ただ、忙しい。

店に会いに行きたい。

けれど、そんな暇がないのだ。

今俺の勤務している会社は、1年の中で一番忙しい時期に入っていた。