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だってそういうことだろ。
貴族に汚れた豚は近寄るなとでも言いたいのか。

うるせぇ、俺がいつ豚になった。


「馬鹿に?してませんよ。ただ、あなたは遥幸さんには不相応だと言ってるんです」

「それを馬鹿にしてるっていうんだよ」

「見下してるっていいたいんですか?」

「うるせぇ……、とにかく何も知らねぇくせに知ったような口聞いてんなよガキが」

「知ってますよ。あなたのこと全部。多額の借金を抱えてそのせいで両親と絶縁。返す宛もなくその店で体を売ってそれで借金を返してるんでしょ?借金はとっくに返し終わったはずだと思いませんか?それなのに開放してもらえない。こんな危ないところにいるあなたと接触させたくない。」

「……っ!!」


こいつ、俺の知らないとこまで、知ってる。


「金の力でどうにでもなるんですよ世の中」


気持ち悪い、という顔をしたのがわかったのか、男は手を振って笑うと目を細めた。


「ストーカーみたいなことしやがって!!!」

「人聞きの悪い。変な言いがかりしないようにちゃんと調べてきただけですよ。」

「……ッチ!ともかく、俺がとやかくいう筋合いはねぇよ。ハルが好きでここに通って俺を指名してる。そんな客を俺はどうにかすることなんてできない」

「どうして?それをすればあなたは自由になれるんですよ。」

「……あのなぁ。俺らお前が想像してるような関係じゃないからな?付き合ってもねぇ」

「でも、……好きでしょ?」


薄ら笑みを浮かべていた口元から、笑みが消えた。

俺の心臓もドクッと大きな音を立てて、きゅうっと縮こまった。
全身の毛穴が閉じて、全身に鳥肌が立った。