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どうにだってしてやる。
ここから開放してやる。

そう言われたって、簡単にはいそうですかとはいえない。
例えそれがどれだけ望んだことであっても、俺にはプライドってもんがある。

それにこいつのいうことを聞くのも癪に障る。


「さっきから聞いてりゃ身元も明かさずになんだお前は」

「……あぁ、そうでしたね。失礼でした。俺は楢崎隼也、楢崎財閥の次男です。」

「ナラザキ財閥……」


こなれたフードのポケットを引っ張って、簡単にそう言ってのける男。

ナラザキ財閥。
聞いたことがある。
相当有名な財閥のはずだ。

だけど、なんで。
そんなやつがハルのことにとやかく言う?


「何でそんなお坊ちゃんが、ハルと関係あるんだよ?」

「遥幸さんは、親戚です」

「は?」

「だから関係あるんです。曲がりなりにも楢崎財閥の身内の人間が水商売の男に溺れてあまつさえ付き合ってるなんてことになっては困るんです。」


つまり、あいつの恋愛相手に俺は不相応だって言いたいのか。
それで、あいつと俺を引きはがそうってことか。


「……なんだよそれは。俺を馬鹿にしてんのか」