4 「……こんばんは……」 思わず返事をしてしまう。 しかしその声は小さく、届いているかわからない。 俺はこいつのことを全く知らないが、どうやらこいつは俺のことを知っているらしい。 誰だお前。 そう問いかけたいが、もう手城にあそこまで釘を刺された手前、流石にそんなことは出来ない。 「いらっしゃいませ、粗末なところですがお座りください」 うわぁ……こいつとヤるのか……。 こんな年下とヤるの初めてかもしんねぇ……。 今まで1番の年下ってハルだったし。 絶対あいつより年下だよなぁ。 目の前の男は、二、三回目をぱちくりさせて座るところを探した後、首を傾げた。 床に直に座るという観念がないのだろうか。 これだから金持ちは。 俺が先に座ってみせると、目の前の男も真似をして座ってくる。 「なにか飲まれますか?」 「あ、いいです。俺、貴方に話があってきただけなんで。」 「話?」 俺は水を氷を入れたグラスに入れる。 そして、目の前に差し出した。 「そう、話。あなたも知っている小早川遥幸のことで。」 ……。 ハル? どうしてここにハルがでてくる? 目の前の男はスッと目を細めて、「ちょっとお願いがあって」と少し低い声を出した。 |