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「……こんばんは……」


思わず返事をしてしまう。
しかしその声は小さく、届いているかわからない。

俺はこいつのことを全く知らないが、どうやらこいつは俺のことを知っているらしい。

誰だお前。

そう問いかけたいが、もう手城にあそこまで釘を刺された手前、流石にそんなことは出来ない。


「いらっしゃいませ、粗末なところですがお座りください」


うわぁ……こいつとヤるのか……。
こんな年下とヤるの初めてかもしんねぇ……。
今まで1番の年下ってハルだったし。
絶対あいつより年下だよなぁ。

目の前の男は、二、三回目をぱちくりさせて座るところを探した後、首を傾げた。
床に直に座るという観念がないのだろうか。

これだから金持ちは。

俺が先に座ってみせると、目の前の男も真似をして座ってくる。


「なにか飲まれますか?」

「あ、いいです。俺、貴方に話があってきただけなんで。」

「話?」


俺は水を氷を入れたグラスに入れる。
そして、目の前に差し出した。


「そう、話。あなたも知っている小早川遥幸のことで。」


……。

ハル?
どうしてここにハルがでてくる?

目の前の男はスッと目を細めて、「ちょっとお願いがあって」と少し低い声を出した。