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「あ!!帰ってきた!都さん!」


帰るやいなや、俺に駆け寄ってきた手城。
何かと思えば少し嬉しそうにしている。


「なんだなんだ」


酸欠のせいか少しぐらぐらする頭を抑えながら俺は聞き返す。
あー……頭痛ぇ。


「どこで捕まえたんですか?あんな上客!」

「あ?」


上客?俺には聞き覚えがねぇ。
なんのことだ。
俺は部屋に入って、仕事用の服に着替える。


「おい手城、これ洗ったか?」


身につけようとした瞬間、変な匂いがして俺はその服を遠ざける。


「洗ってませんよ。あんた洗濯だして無かったんですから」

「はぁ?!昨日俺トんでたよな?!ベロベロだったよな?!」

「そうですね。お客様に勃たないぐらい飲ませるなって怒られましたね。俺が」

「う、ぐ……っ」


服の文句をいおうとしたら、手城が目を細めて俺を睨む。
んな事言ったってよぉ、昨日はなんか変な客が来てひたすら飲まされたんだよ。
知るかよ俺は悪くねえ。
『飲めないの?』って言われたら飲むしかねぇだろ。
そのお陰でその人とは超ノリノリでフェラし合ったけど、お互い勃たなかった。

今考えると何してんのかわかんねぇな。


「ファブリーズでもして着てください」

「嫌だよ!!なんでトんでたんだからそんぐらいしてくれよ!!」

「あんた最近甘えすぎですよ?!」

「仕事やめてぇえええええ!!!」

「ほらすぐそういう事言う!」


手城ははぁ、とため息をつくとインカムでなにやら指示をして俺のシャツを回収した。


「着替えの服持って来させますから、着替えたらすぐ向こう行ってください。大事なお客様ですよ」

「みんな大事なお客様だよ。サンキューな手城」