3 思わず俺が目を見開く。 と、同時に隣にいた黒髪の女の子も目を見開く。 「え?!」 こっちが「え?!」だわ! 茶髪の女の子は、じいと俺を見つめて悩むように首をかしげた。 「たぶん……合ってると思うんだけど……。ねぇ、シノですよね?」 まさか、君が中学生?いや、小学生ぐらいの頃だろう俺が活動していたのは。 それなのにどうして俺がわかるんだ。 俺は違うともそうだとも言えなくて、苦笑いをする。 「ね!ほらあってんじゃん!」 「え、へぇえ……シノってこんなにちっさいんだ……」 「シッ!聞こえちゃうから!」 いやいや、聞こえてますよお嬢さん。 俺今目の前だから。 俺はなんとも言えない気持ちになると、そのまま体の向きを変えた。 あの女の子たちがいるから、メルレック特集をしているラックにCDを返せない。 まぁいいか、ひさびさに……聞いてみるのもいいかもしれないな。 音楽活動を引退するとともに、俺は音楽と決別した。 音楽が嫌いなんだとでもいうように、音楽を避けてきた。 なぜならそれは、音楽を恨んでしまうから。 他人に嫉妬して、好きな物が醜いものにしか見れなくなってしまうから。 これ以上醜くなってどうするって話だ。 しかし、曲を聞かないだけでオリコンヒットチャートなどはチェックして、情報は手に入れていた。 ひさびさだ。 成り行きで仕方ない、といった形だが俺はそのままレジに向かう。 |