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思わず俺が目を見開く。
と、同時に隣にいた黒髪の女の子も目を見開く。


「え?!」


こっちが「え?!」だわ!
茶髪の女の子は、じいと俺を見つめて悩むように首をかしげた。


「たぶん……合ってると思うんだけど……。ねぇ、シノですよね?」


まさか、君が中学生?いや、小学生ぐらいの頃だろう俺が活動していたのは。
それなのにどうして俺がわかるんだ。
俺は違うともそうだとも言えなくて、苦笑いをする。


「ね!ほらあってんじゃん!」

「え、へぇえ……シノってこんなにちっさいんだ……」

「シッ!聞こえちゃうから!」


いやいや、聞こえてますよお嬢さん。
俺今目の前だから。
俺はなんとも言えない気持ちになると、そのまま体の向きを変えた。
あの女の子たちがいるから、メルレック特集をしているラックにCDを返せない。

まぁいいか、ひさびさに……聞いてみるのもいいかもしれないな。

音楽活動を引退するとともに、俺は音楽と決別した。
音楽が嫌いなんだとでもいうように、音楽を避けてきた。
なぜならそれは、音楽を恨んでしまうから。
他人に嫉妬して、好きな物が醜いものにしか見れなくなってしまうから。

これ以上醜くなってどうするって話だ。


しかし、曲を聞かないだけでオリコンヒットチャートなどはチェックして、情報は手に入れていた。

ひさびさだ。

成り行きで仕方ない、といった形だが俺はそのままレジに向かう。