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メルレックは俺達と違って、たくさんのCDを出している。
もうスタイルが確立されていて、そのスタイルにファンがついている。

確かジンとは一度だけ話したことがある。
……若かった。
話した時は多分高校生だった。

その頃は1度も彼に嫉妬したことは無かったけど、今になって俺は彼に嫉妬している。
その頃からプロとして活動して、今まで活動が出来ているのはとても羨ましいことだ。

もう大方8年とかになるんじゃないだろうか。

俺だってインディーズで活動したし、その前だってそれなりに活動はしてたつもりだったけど、華やかな世界は違った。
華やかで注目を浴びやすい故に、シビアだった。


「わー!!メルレック新曲出してんじゃん!!」

「めっちゃかっこいいよね!メルレック!」

「うん!ジンの声がたまんない!!ほんとかっこいい!!」

「そう!!それ!!」


不意に聞こえてきた甲高い声に、俺は思わず肩を揺らしてそっちを見る。
すると、2人の女の子が俺の隣に居た。
高校生だろうか。
下着が見えそうなギリギリの短さのスカート。
谷間が見えそうな胸元。

思わずぎょっとしてしまって俺は目を離す。
久々にあそこまで若い子を見た気がする。

あまり彼女達を見ていたら怒られそうだから、俺は目を離して、コーナーを独占するメルレックに目を通すと、1冊CDを手に取った。


「ねぇあの人。見たことない?」

「え?」

「あの、帽子と金髪の人。」


買おうか買うまいか、じぃとCDを見ながら悩んでいたら、ふと隣から声がする。
帽子に金髪?
そう思ってその声の方を見てみたら、さっき俺が見つめていた女子高生が今度は俺の方を見ていた。


「ほら、ほら、えっと」

「なになに?」

「ブルー……ブルー……」


茶色の髪の毛の女の子が、俺を指さしながら悩んでいる。
おいおいまさか、俺を知ってるのか。


「ブルーバスター!!シノ!!」