2 メルレックは俺達と違って、たくさんのCDを出している。 もうスタイルが確立されていて、そのスタイルにファンがついている。 確かジンとは一度だけ話したことがある。 ……若かった。 話した時は多分高校生だった。 その頃は1度も彼に嫉妬したことは無かったけど、今になって俺は彼に嫉妬している。 その頃からプロとして活動して、今まで活動が出来ているのはとても羨ましいことだ。 もう大方8年とかになるんじゃないだろうか。 俺だってインディーズで活動したし、その前だってそれなりに活動はしてたつもりだったけど、華やかな世界は違った。 華やかで注目を浴びやすい故に、シビアだった。 「わー!!メルレック新曲出してんじゃん!!」 「めっちゃかっこいいよね!メルレック!」 「うん!ジンの声がたまんない!!ほんとかっこいい!!」 「そう!!それ!!」 不意に聞こえてきた甲高い声に、俺は思わず肩を揺らしてそっちを見る。 すると、2人の女の子が俺の隣に居た。 高校生だろうか。 下着が見えそうなギリギリの短さのスカート。 谷間が見えそうな胸元。 思わずぎょっとしてしまって俺は目を離す。 久々にあそこまで若い子を見た気がする。 あまり彼女達を見ていたら怒られそうだから、俺は目を離して、コーナーを独占するメルレックに目を通すと、1冊CDを手に取った。 「ねぇあの人。見たことない?」 「え?」 「あの、帽子と金髪の人。」 買おうか買うまいか、じぃとCDを見ながら悩んでいたら、ふと隣から声がする。 帽子に金髪? そう思ってその声の方を見てみたら、さっき俺が見つめていた女子高生が今度は俺の方を見ていた。 「ほら、ほら、えっと」 「なになに?」 「ブルー……ブルー……」 茶色の髪の毛の女の子が、俺を指さしながら悩んでいる。 おいおいまさか、俺を知ってるのか。 「ブルーバスター!!シノ!!」 |