3 失礼します。そう言った千尋が部屋に入ってくる。 いつものように少し暗めの部屋を明るくすると、俺の姿を見留めた。 「隼也様」 「どうしたの、千尋」 そしてなんとも言えないような表情をつくると、俺に寄ってきた。 なんのつもりだろう。 俺がじっと彼を見つめていたら、千尋の手が動く。 その手はだんだん大きくなって、近くて見れないほどになる。 生理現象で手を瞑ってしまえば、冷たい手が俺の瞼をすごく優しく撫でた。 「後でなにか冷やすものを持ってきますね」 「いいよ、そんなの。」 「明日に残ってしまいますよ。」 俺は目に触れる。 少し熱を持った目。 明日には腫れるだろうか。 そうしたら不細工になっちゃうな。 俺がしばらく何も言わずに目を触っていたら、千尋は、持っていたファイルから書類を取り出した。 「読みますか?それとも、読み上げましょうか?」 有名人だから調べやすかったのだろうか。 いつの間に、と言いたい量を持っている千尋に、俺は体を起こした。 「そうだね、大事だと思うとこだけ読んでくれる?後は自分で読む」 「それなら自分で読まれた方が早いのでは……」 「良いんだよ、ほら、お願い」 「そうですか。」そう返事をした千尋は、俺の手にあるブルーバスターのCDに気付いてから、そっと目を伏せた。 「では読み上げます。」 「うん。お願いするよ。」 |