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失礼します。そう言った千尋が部屋に入ってくる。
いつものように少し暗めの部屋を明るくすると、俺の姿を見留めた。



「隼也様」

「どうしたの、千尋」


そしてなんとも言えないような表情をつくると、俺に寄ってきた。

なんのつもりだろう。
俺がじっと彼を見つめていたら、千尋の手が動く。
その手はだんだん大きくなって、近くて見れないほどになる。
生理現象で手を瞑ってしまえば、冷たい手が俺の瞼をすごく優しく撫でた。


「後でなにか冷やすものを持ってきますね」

「いいよ、そんなの。」

「明日に残ってしまいますよ。」


俺は目に触れる。
少し熱を持った目。
明日には腫れるだろうか。
そうしたら不細工になっちゃうな。

俺がしばらく何も言わずに目を触っていたら、千尋は、持っていたファイルから書類を取り出した。


「読みますか?それとも、読み上げましょうか?」


有名人だから調べやすかったのだろうか。
いつの間に、と言いたい量を持っている千尋に、俺は体を起こした。


「そうだね、大事だと思うとこだけ読んでくれる?後は自分で読む」

「それなら自分で読まれた方が早いのでは……」

「良いんだよ、ほら、お願い」


「そうですか。」そう返事をした千尋は、俺の手にあるブルーバスターのCDに気付いてから、そっと目を伏せた。


「では読み上げます。」

「うん。お願いするよ。」