5





「嘘をつかないところは流石っすね」


俺がその目を見返せば、早川さんはそのまま俺の顔から少し目を離した。


「……なに、なんなの」

「はい、これっすよ。」


俺はCDを手渡す。
中古じゃない、新品だ。
店に余っているのがないかと聞いた時、あると聞いてそれを取り寄せたのだ。

早川さんは珍しいCDだからか、目を見開いてそれを見つめる。
そして俺を見ると、眉根に皺を寄せた。


「どこでこんなの」

「金持ちは早川さんには想像出来ないことができるんすよ」

「……もらっていいの」

「あげるって言ってるんすからあげます。」


早川さんがおずおずと手を伸ばす、それを見ながら俺は反対の手でそのCDを指さした。


「昨日、居ましたよね?」

「……」

「変な勘ぐりしないでください、俺はただ純粋にあそこにラーメンを食べに行っただけなんすよ。」


早川さんはBLUEBUSTERのCDを見つめると、首を振った。
大方、どうして相手までわかったんだと言いたいんだろう。


「隣にいたのに気づかなかったんですか?」

「気づかないよ」


早川さんは心底不愉快という顔をして、俺の顔を見ながら目を細めた。


「早川さん」

「はぁ、ちょっと来て」


そして急に立ち上がると、俺の手首を掴んだ。