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俺は部長と少し話した後、早川さんの隣に行った。


「早川さん」

「おはよう」

「おはようっす」


後ろの髪の毛、少し跳ねてる。
いつもは綺麗な球体を描く後頭部。
その中のひと束が、他と逆らっているのを見て俺はまゆを寄せた。
今見たら、なんでも皮肉れる気がする。

ソレ、朝時間がなかったらそうなってるんじゃないんですか。なんて。


「早川さんに渡したいもんがあるんすよ」

「なに?仕事終わらないから手短にね」

「またまた連れないこと言わないでくださいよー。BLUEBUSTER好きでしょ?早川さん」

「……好きだよ」


ピクンッと反応した早川さんの手が止まる。
俺はカバンを漁りながら、舌打ちしたい気分に苛まれた。


「だいぶ前に渡そうと思ってたんすけど」


あれ、どこにやったかな。
なんていいながら俺はカバンを漁る。
ちらりと早川さんのパソコンの画面をみてみると、なにやら書面を作成しているようだった。

何食わぬ顔でそれの続きをしようとする早川さん。
そんな早川さんに、俺は思わず言ってしまった。


「昨日ラーメンは何味食べたんですか」

「……は?」

「ラーメン屋、行ったっしょ?ほら、その好きな人と」


俺がBLUEBUSTERのCDを指先でつまんだ時、早川さんが俺の顔を見る。
久々に俺を見た早川さん。

相変わらず……かっこいい、けど。

その顔はみるみるうちに俺を睨むようなそんな表情に変わっていく。


「なに……気持ち悪いんだけど。」