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『このことは秘密だよ。誰にもバレちゃいけない。その旨をしっかりと頼む人に伝えておいて』


千尋にそう伝えた。
いろいろ待ちきれない俺は、日が変わってもパソコンのサイトを見まくっていたし、講義中もスマホを齧り付くように見ていた。

借金を抱えた理由は定かではない。
今は早川さんが行った風俗で働いて、男だけではなく女も相手にすることがあるらしい。
街中ではShinoが男と腕を組んで、歩いているのを目撃したという情報も。

気を持たせるだけ持たせて、金を搾り取って無くなったら捨てる。

よく言えば鏡だけれど、もう染まっていて元の世界には帰れない。

そんなものまで見つけた。

当たり前だ。

そんなことをしている人が、まともな恋愛なんてできるわけがない。

早川さんだってどうせ遊ばれているんだ。
金を搾り取るだけ搾り取って、それから振られてしまうんだ。
……きっとあの人は、自分の憧れのバンドだったから騙されているだけ。
あの人は優しいから、きっと漬けこまれているんだ。


「おはようございます」

「あぁ、おはよう楢崎くん。あれ?なんか今日は遅いね。」

「すいません……少し……講義が長引いて」

「そうなんだ。それなら仕方ないな、いつもいつもありがとうね」


いつもと同じように出勤した俺は、早川さんではなく部長と少し話しをした。
頭の中にはぐるぐると昨日のことが回っていた。
他のことに手がつかないぐらい、そのことをずっと考えていた。

俺のカバンの中にはずっと前に手に入れた、BLUEBUSTERのインディーズの頃のCDが入っている。