3 『このことは秘密だよ。誰にもバレちゃいけない。その旨をしっかりと頼む人に伝えておいて』 千尋にそう伝えた。 いろいろ待ちきれない俺は、日が変わってもパソコンのサイトを見まくっていたし、講義中もスマホを齧り付くように見ていた。 借金を抱えた理由は定かではない。 今は早川さんが行った風俗で働いて、男だけではなく女も相手にすることがあるらしい。 街中ではShinoが男と腕を組んで、歩いているのを目撃したという情報も。 気を持たせるだけ持たせて、金を搾り取って無くなったら捨てる。 よく言えば鏡だけれど、もう染まっていて元の世界には帰れない。 そんなものまで見つけた。 当たり前だ。 そんなことをしている人が、まともな恋愛なんてできるわけがない。 早川さんだってどうせ遊ばれているんだ。 金を搾り取るだけ搾り取って、それから振られてしまうんだ。 ……きっとあの人は、自分の憧れのバンドだったから騙されているだけ。 あの人は優しいから、きっと漬けこまれているんだ。 「おはようございます」 「あぁ、おはよう楢崎くん。あれ?なんか今日は遅いね。」 「すいません……少し……講義が長引いて」 「そうなんだ。それなら仕方ないな、いつもいつもありがとうね」 いつもと同じように出勤した俺は、早川さんではなく部長と少し話しをした。 頭の中にはぐるぐると昨日のことが回っていた。 他のことに手がつかないぐらい、そのことをずっと考えていた。 俺のカバンの中にはずっと前に手に入れた、BLUEBUSTERのインディーズの頃のCDが入っている。 |