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何者かわからないなんてことは無い。
わかる。
わかってる。
けど、認めたくないだけだ。

どうしてshinoと早川さんが一緒にいるんだ?
どこでリンクしたんだ?
どこで早川さんとshinoは。

俺はshinoを見ながら眉間に皺を寄せた。


おいおい。


「お前にしてはセンスいい店じゃねーか」

「あはは、教えてもらったんですけどね。教えてくれた子がセンスいい子だから」

「ふぅん、やっぱお前はこんなセンスねぇよなぁ」


早川さんがセンスいいって言ってくれてる。
きっと俺のことだ。

しばしのあいだ、その言葉にキュンとして俺は少し顔を綻ばせた。
しかしまた、不愉快になることが次々と起こっていく。


「ひどいなぁ。そんな事言わないでよ志乃さん」

「当たり前だろ?お前が最初に持ってきたのなんて唐揚げパンと焼きそばパンだったからなぁ?」

「そ!れは!」

「もうちっとゼリーみたいなもんな持ってこれなかったのかよ」

「やだよそんな病院食みたいなの……」


どうやらshinoの早川さんが会うのはここが初めてじゃないらしい。
shinoが目を伏せて笑う度に、胸の奥がツキッと痛む。

画面の中の人だったはずの人が、目の前にいる。
それが何よりも早川さんを惹き付けていることが分かったし、俺が見ていたshinoとは全く別人の人物に見えたからだ。

しかし、それだけじゃない。

俺はもう一つ、拭いきれない可能性を否定したくてもう一度聞き耳を立て直した。