1 俺は頬杖をついて辺りを眺める。 かといって、個室だから見えるものは限られているのだけど。 僅かな隙間から見える店の様子を伺ってみたり、聞き耳をさりげなく立ててみたりしてみる。 ふと目の前を見たら、千尋までそわそわしていたから吹き出してしまった。 「千尋」 「なっ、何笑ってるんですか」 「だって、そんなっふふ!そんな千尋見るの久々だなぁって思って!」 「……どういうことですか」 「そうやってそわそわしてる千尋。懐かしいな。いまじゃ全然見られないから。」 初めて会った時は、ずっとそわそわしていてろくにものも喋れなかったのに。 いまじゃ琴音さんみたいによく俺に小言をいうし、よく怒る。 人って変わるものだなぁ。 そう思っていれば、千尋はテーブルの上を片付け始めた。 そしてぽつり、と 「……隼也様が初めてですから。」 思わず千尋を見れば、千尋は俺を見つめていた。 俺はそんな千尋から目を離してまた外の様子を伺った。 「なんかイヤらしいね」 「なにがですか!!」 「言い方がね。」 |