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俺は頬杖をついて辺りを眺める。
かといって、個室だから見えるものは限られているのだけど。

僅かな隙間から見える店の様子を伺ってみたり、聞き耳をさりげなく立ててみたりしてみる。
ふと目の前を見たら、千尋までそわそわしていたから吹き出してしまった。


「千尋」

「なっ、何笑ってるんですか」

「だって、そんなっふふ!そんな千尋見るの久々だなぁって思って!」

「……どういうことですか」

「そうやってそわそわしてる千尋。懐かしいな。いまじゃ全然見られないから。」


初めて会った時は、ずっとそわそわしていてろくにものも喋れなかったのに。
いまじゃ琴音さんみたいによく俺に小言をいうし、よく怒る。

人って変わるものだなぁ。

そう思っていれば、千尋はテーブルの上を片付け始めた。

そしてぽつり、と


「……隼也様が初めてですから。」


思わず千尋を見れば、千尋は俺を見つめていた。
俺はそんな千尋から目を離してまた外の様子を伺った。


「なんかイヤらしいね」

「なにがですか!!」

「言い方がね。」